はじめに

<定額取り崩しシミュレーション>

著書「マンガと図解 はじめての資産運用 新NISA対応改訂版」(宝島社)より

表の縦軸は取り崩す年数(何年で取り崩すか)、横軸は運用利回り(年率)を表しています。たとえば、65歳から3000万円の資産を年利3%で運用しながら25年かけて取り崩す場合、3000万円×0.05743=172万2900円となります。毎月14万3575円取り崩し、90歳でちょうど資産ゼロになります。

もしも、運用せずに毎月14万3575円取り崩したら、17年半ほどで資産がゼロになる計算なので、運用しながら取り崩すことで資産寿命が長持ちします。

資産の取り崩し方には、一定額で取り崩す「定額取り崩し」と、一定割合で取り崩す「定率取り崩し」があります。定額はわかりやすいのですが、資産の減りが早いのが難点。一方、定率は資産が長持ちしますが、受け取れる金額が毎年減ります。

おすすめは、資産が多いうちは定率、少なくなったら定額。つまり「前半定率・後半定額」です。若く健康な時期は多く取り崩すことができ、資産寿命も延ばしながら使い切れます。

たとえば、資産2000万円を年3%で運用しながら取り崩す際に、資産が1000万円を切るまでは年6%の定率取り崩しを実践し、資産が1000万円を切ったタイミングで年60万円の定額取り崩しに切り替えたとします。

<前半定率・後半定額の取り崩し>

著書「マンガと図解 はじめての資産運用 新NISA対応改訂版」(宝島社)より

定率取り崩しでは、毎年120万円~60万円程度を取り崩します。年によって金額は異なりますが、毎年だんだん減っていきます。そこで、資産が1000万円を切ったら60万円の定額取り崩しにして効率よく資産を使い切ることを考えます。この場合、30年経過時点でも約690万円の資産が残ります。

楽天証券「定期売却サービス」など、保有資産を自動的に定率・定額で売却できるサービスを使うと簡単です。一度設定しておけば、あとは自動的に取り崩してくれますので、手間を省きたい方にも向いています。

iDeCoの出口戦略「『退職所得控除』と『2分の1課税』の上手な活用」

iDeCoの資産の受け取り方法には「一時金」と「年金」があります(併用も可能)。一時金で受け取ると「退職所得控除」、年金で受け取ると「公的年金等控除」が利用できるため、課税所得を減らし、税金を安くできます。

節税効果が高いのは一時金での受け取り。退職所得控除は、控除できる金額が大きいからです。

退職所得控除の計算式

著書「マンガと図解 はじめての資産運用 新NISA対応改訂版」(宝島社)より

しかし、勤続年数とiDeCoの加入年数が重複する場合、長いほうの期間しか控除の対象になりません。そのため、「退職金とiDeCoを同時に受け取ると退職所得控除の金額を上回る」という場合は、税金が高くなってしまいます。

65歳定年、または60歳定年でも再雇用終了時の65歳に退職金がもらえるという人は、iDeCoの一時金を先に受け取ることが可能です。ただし、65歳まで働くので、iDeCoの積み立てを延長するという選択肢もあります。

この場合は、どう受け取るのがお得になるでしょうか?

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