はじめに
目的ごとに分解して考えてみる
まず、坂田さんが万が一亡くなった場合に遺族の生活を支えるための「死亡保険」としてこの商品を見てみましょう。亡くなったらその時の運用成果にかかわらず1,000万円が最低保証、さらに6%以上で運用ができれば保険金も増えていくとのことですが、そもそも生命保険として適切なのかという点です。
まず、生命保険としての適正な額を算出するためには、ねんきん定期便を元に遺族年金を試算し、それで万が一の生活費をまかなえるのかどうかを考えます。今回はこのプロセスについては割愛しますが、試算の結果死亡保険金としては3,000万円くらい必要だと分りました。
すると今提案されている変額保険で同額の保険金を準備しようと思うと、単純に見積もっても22,000円の保険料より3倍程度上がることになります。
ちなみにネットで簡単に見積もりができる保険会社で35歳男性、保障期間30年間の掛け捨てで、保険金3,000万円と検索をすると月の保険料が7,000円程度でした。
今度は資産形成という視点で見ていきましょう。坂田さんが提案を受けている変額保険の満期保険金あるいは解約返戻金は運用実績に応じて変動し、死亡保険金のような最低保証はありません。
また、毎月支払う保険料は全額が運用に回る訳ではなく、一部は生命保険の保険料に回ります。これはパンフレットにある0%で運用した場合の解約返戻金が参考になります。
坂田さんが持参された資料によると、0%運用で10年経過した時の解約返戻金は209万円と表示されています。20年後は412万円、30年後は619万円です。一方それぞれ支払った金額は264万円、528万円、792万円ですから、平均するとどうも1年あたり6万円程度解約返戻金の方が少ないことが分ります。すると実際運用に回っているお金は22,000円の保険料のうち17,000円程度なのかも知れません。
保険に関連する手数料は、保険会社によって異なりますし、年齢や性別によっても異なるのですが、坂田様の場合はこのように見当をつけてみました。
変額保険は資産形成と死亡保険がセットになっているわけですから、内訳としては運用に回るお金が月17,000円、1,000万円の死亡保障に回るお金が5,000円と分解できます。
すると死亡保険金3,000万円の生命保険を、月々7,000円の保険料で確保し、15,000円をNISAで運用をするというプランも比較検討してみるべきかも知れません。