はじめに

春闘の結果次第では「円高・ドル安」が進行も


国内のイベントとして注目しておきたいのが、3月末までに行われる「春闘」です。春闘とは、労働組合が毎年2月~3月に行う、企業との賃上げ交渉のこと。すでに、トヨタ自動車やホンダなど一部の大企業で春闘がスタートしたことが話題になっています。今のところ、2024年の春闘の賃上げ率は前年の数字(3.60%)を若干上回るとの予想が目立ちますが、大企業の賃上げが中小企業までどの程度波及するかがカギとなりそうです。

実は、2024年の春闘について、経済界や金融業界の注目が例年以上に集まっています。その理由は、春闘の結果次第で日銀が20年以上に渡って続けてきた「ゼロ金利政策」の解除に動く可能性があるため。植田和男・日銀総裁は、2023年4月に総裁に就任して以来、ゼロ金利政策を解除するための主な条件に「物価の安定(物価高の収束)」と「賃金の上昇」を掲げています。

物価高については、今後は徐々に収束することが予想されています。それだけに、今回の春闘で前年を上回る水準で賃金が上昇すれば、4月の25日、26日に渡って開かれる予定「日銀金融政策決定会合」で、金融史の歴史に名を刻む「ゼロ金利の解除」が行われる可能性が高まるでしょう。春闘の内容が報道されるにつれ、株式市場や為替市場もゼロ金利解除を織り込む形で推移していくことが予想されます。

現在、米国がいつ利下げに転じるかが話題となっています。米国が利下げ、日本がゼロ金利解除(≒利上げ)となれば、両国の金利差の縮小によって、為替は「円高・ドル安」が進む可能性が高いでしょう。ゼロ金利解除については、同コラム「知っておきたい日銀の『ゼロ金利政策』」で少し詳しく触れていますので、気になる方はチェックしてみてください。

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