はじめに

高配当株ファンドの注意点

一方、高配当株ファンドにも注意点があります。

●保有コストが高い
高配当株ファンドは投資信託ですので、保有中に信託報酬がかかります。信託報酬は「年○%」と年率で記載されていて、投資信託の純資産総額の中から毎日一定の割合で差し引かれていきます。

個別株には信託報酬はありませんので、保有コストは投資信託、高配当株ファンドのほうが高くつきます。

近年、信託報酬の安い投資信託が増えていますが、それでも何十年と投資を続けるほど保有コストの面では高配当株ファンドが不利でしょう。

●分散投資していても値下がりリスクはある
高配当株ファンドのメリットで市場の値下がりに比較的強いと紹介しましたが、それでも値下がりリスクがなくなるわけではありません。たとえばリーマンショックやコロナショックのように、市場全体が暴落した場合には、高配当株ファンドも値下がりします。

●配当利回りが下がるリスクはある
値下がりリスクと同様、高配当株ファンドの投資先が減配・無配となれば、高配当株ファンドでも配当利回りが下がるリスクはあります。

●値上がり益の期待は薄い
高配当株ファンドはあくまで配当利回りの高い銘柄から投資先を選定しています。成長株より割安株、優良株に投資しているというわけです。

値上がり益でお金を増やしたいのであれば「オルカン」の愛称で知られる「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」といった全世界株型インデックスファンド、あるいは米国の株価指数「S&P500」と連動する米国株型インデックスファンドに投資した方がよい可能性があります

●新NISAで非課税枠(年間投資枠・生涯投資枠)いっぱいだと新NISAで再投資できない
新NISAで高配当株ファンドに投資し、支払われた分配金を再投資するときには、非課税投資枠を消費します。

たとえば、新NISAのつみたて投資枠ですでに高配当株ファンドに年120万円いっぱい投資していた場合、高配当株ファンドから分配金が出ても、つみたて投資枠には空きがないため、再投資できません。このとき、新NISAの成長投資枠に空きがあれば、成長投資枠で再投資できます。

しかし、成長投資枠も年240万円いっぱい投資していて空きがないという場合には、課税口座(特定口座または一般口座)で投資ということになります。また、新NISAですでに生涯投資枠の1800万円を使い切っている場合も、課税口座で投資されます。新NISAの投資枠に空きがない場合には、課税口座での投資になる点に注意しましょう。

●元本払戻金(特別分配金)を出すリスクもある
投資信託の分配金には、普通分配金と元本払戻金の2種類があります。普通分配金は得られた運用益から支払われる分配金です。それに対して元本払戻金は、元本の一部を取り崩して支払う分配金です。「特別分配金」とも呼ばれます。

投資信託の運用がうまくいっているときは、無理なく普通分配金を出すことができますが、うまくいかないときは、普通分配金を出せなくなってしまいます。それでも分配金を出さなければならない場合に、投資信託は元本を取り崩して分配金を出すことがある、というわけです。元本払戻金(特別分配金)はもともと自分のお金ですから非課税です。そのうえ、元本が少なくなってしまうので、その後の値上がりの恩恵が受けにくくなってしまいます。

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