はじめに

2月9日の日経新聞が報じた【損保4社に政策株の売却要求 金融庁、価格調整で問題視】という見出しのニュースには驚きました。

金融庁は、企業向け保険料を事前調整している現状は、株の持ち合いを通じて企業とのもたれ合いが生じている。この事は一連の不正行為の温床となっているとして、損保会社が保有する政策保有株を売却する要求をしたという内容でした。その内容を受け、損保各社も政策保有の売却・縮減を進めるとの報道があります。昨年、東証は上場企業全社に資本コストや株価を意識した経営の実現を促しています。その影響で政策保有株の売却や縮減をし、株主配当や設備投資などを行うと発表している企業が増加中です。

そこで頭をよぎったのは日銀が保有する株式の売却・縮減などの議論はどうなるか?という事です。今回は日銀が保有するETFについてお伝えします。


2010年からスタートした買い入れ

日本銀行がETF (上場投資信託)の買い入れを行っていることはご存知でしょうか。買い入れを始めたのは2010年12月からで、この制度は金融政策決定会合において包括的金融緩和政策のひとつとしてスタートしました。包括緩和とは、2010年10月の日銀金融政策決定会合で打ち出された「デフレ脱却のための複数の金融政策」のことで、当時の日本銀行白川総裁によって名付けられました。包括緩和の内容には、金利をゼロに誘導するための金融政策や物価目標の導入、国債などの金融資産を買い入れるために35兆円規模の基金創設の内容が盛り込まれています。

日銀の狙い

ETF買い入れの狙いについて、日銀は「2%の物価安定目標の実現を目指すこと」として「長期国債やETF、J-REITの買い入れによって金利の低下とリスク・プレミアムの縮小を促す」としています。リスク・プレミアムとは投資家が投資をする上でのリスクに対して嫌気を示す度合いのことで、リスク・プレミアムを小さくすることができれば、投資家のリスク意識が低下し、リスクマネーが社会に浸透・循環し、結果的に物価上昇へとつながるであろうという狙いでスタートしました。

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