はじめに
史上最高値更新はユニクロとエヌビディアのおかげ?
日経平均が史上最高値を更新した最大のカラクリは、「半導体関連株の株価急上昇」です。先ほど、日経新聞社は日経225銘柄の選定に際して、「セクターの偏りがないように選ぶ」ことに触れました。しかし、現在は限られた銘柄群の影響が非常に大きくなっています。それが、東京エレクトロンやアドバンテスト、レーザーテックといった「半導体関連株」です。
日経平均株価は、「225社の株価を足して225で割る」という単純平均ではなく、「株価換算係数」や「序数」といった数値を用いて計算(気になる方は、日経新聞社が公表している「日経平均株価算出要領」のPDF15ページの資料をお読みください)されていて、「値がさ(株価が高い)の銘柄の影響力が大きくなる」傾向があります。そのため、現状ではユニクロを展開するファーストリテイリング(3月28日の終値で4万6930円)や半導体製造装置の世界的メーカーである東京エレクトロン(同3万9510円)、半導体検査装置メーカーのアドバンテストなど、半導体関連株の値動きの影響が非常に大きくなっています。
たとえば3月18日、日経平均は前週末比で1032円高と急騰しました。そのうち、前述のファーストリテイリングと東京エレクトロンの2銘柄だけで、上昇分1032円のうち、340円も押し上げています。その他の半導体関連を入れると、実に上昇の約半分が「ファーストリテイリング+半導体関連」で占めたのです。日経平均株価が上昇しているのに、全銘柄中、「株価が値上がりした銘柄の数」よりも、「値下がりした銘柄の数」のほうが“はるかに”多い日も珍しくありません。こうした状況を見て、外資系金融機関の中には「日経平均は日本全体の株価を表す指数ではなく、『ユニクロ+半導体株』指数だ」などと揶揄(やゆ)する関係者がいるそうです。
現在は、生成AIやデータセンター向けなどの需要の拡大によって、半導体は世界的に注目される分野になっています。生成AIに必須の半導体、GPU(画像処理装置)のトップメーカーとしてめきめきと頭角を表したエヌビディア。株価は、2020年以降の4年間で約14倍に上昇しました。特に、2023年以降の上昇はすさまじく、日本の半導体関連株もそれに引っ張られる形で急上昇しています。日経平均株価の史上最高値更新の裏側には、半導体関連株の株価急上昇があるのです。一言でいうなら、「エヌビディアのおかげ」なのかもしれません。
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