はじめに

フリーランスになったら備えておきたいこと

フリーランスになると、公的な保障が会社員時代と比べて手薄になります。ここからは保障を補うために必要な対策を2つご紹介します。

病気やケガで働けなくなったときに備える

フリーランスが加入する国民健康保険には、傷病手当金の制度がありません。傷病手当金とは病気やケガのために会社を休み、十分な給与が受けられない場合に支給されます。連続して3日仕事を休んだ後、4日目以降仕事に就けなかった日について、最大1年6ヵ月間受け取れるものです。

これを自分で備えるには、病気やケガで働けないときに備えて、生活防衛費を確保しておく必要があります。生活防衛費とは、万が一のときにも当面の暮らしを維持するために備えるお金のことです。フリーランスは、6ヵ月から12ヵ月分の生活費を目安に準備しましょう。

しかし、まとまったお金が当面用意できそうにない場合は、民間の保険会社が提供する就業不能保険への加入も選択肢の一つです。就業不能保険は働けないときの生活費をカバーする保険です。支払い対象期間は各保険会社によって設定されています。

老後の生活に備える

夫婦2人の老後生活に必要な最低日常生活費は月額平均23.2万円、ゆとりある老後生活費は月額平均37.9万円とのデータがあります(参考:生命保険文化センター「2022(令和4)年度生活保障に関する調査」)。フリーランスが加入する国民年金は、会社員の厚生年金と比較して、年金の受け取り額が大幅に少なくなります。そのため老後に備えて、国民年金にプラスの備えをしておくと安心です。プラスする方法を3つご紹介します。

①国民年金基金に加入する
国民年金に上乗せできる年金として国民年金基金があります。フリーランスなどの第1号被保険者のみが加入できます。掛け金の全額が所得控除の対象となり、税金が軽減されます。受取額が決まっているため、将来インフレになった場合、お金の価値が下がることには注意が必要です。

②個人型確定拠出年金iDeCoに加入する
インフレにも対応できるものとしては、年金に個人型確定拠出年金iDeCoがあります。運用する金融商品は投資信託などを自分で選べます。掛け金が全額所得控除になります。フリーランスの掛け金は、国民年金基金の保険料または後述する付加年金保険料と合わせて月額6万8千円(年額81.6万円)が上限です。

③付加年金に加入する
月額400円の保険料を支払うことで将来の年金に上乗せができます。給付額が確定しており、「200円×付加保険料を納付した月数」の金額が毎年の年金に加算されます。国民年金基金との併用ができないことが注意点です。

フリーランスになることで、暮らしにどんな影響があるのか、どう対策すればいいのかを事前に知っておくことは、働き方の選択をする上でも非常に重要です。

フリーランスになってから知らなかったでは遅い

フリーランスになると、これまで会社がしてくれていた社会保険への加入手続き・保険料の支払いを自分でやらなければなりません。また、売り上げや経費の計算、確定申告を通じて自分で行うことになります。さらに、自身に必要な保障を見極め、補う対策も必要になります。

働き方を変えるということは、人生において非常に大きな決断となります。決断後の未来をライフプランで見える化し、家計への具体的な影響を把握できると、次の一歩も踏み出しやすくなるはずです。

フリーランスとして自由な働き方をより選択しやすくなった今だからこそ、必要な知識をしっかりと身に付けた上で、夢を追いかける人生にしたいですね。

【監修】伊達有希子/ファイナンシャルプランナー(CFP、1級FP技能士)

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