はじめに
広域交付を行う際に注意するポイント
このように、今までは戸籍を「集める」というところでかなりハードルが高い面がありました。金融機関窓口で相続手続きを行う際に「戸籍が足りていない」と言われている方を見ることも多々ありました。手続きに慣れていない相続人ご自身で戸籍の取得を行うと、漏れが出てくるのは仕方がないことです。
戸籍証明書等の広域交付により、「出生から現在までの戸籍を集める」というハードルが下がったことで、相続手続きの促進にもなるのではないかと思っています。
しかし、相続手続きにおいて、この広域交付の制度は完全なものではありません。取得する際のポイントとして下記のことがありますので注意が必要です。
(1)戸籍証明書等を請求する人が市町村窓口へ出向き請求する必要がある(郵送請求や代理人による請求は不可)
(2)請求者の写真付き身分証明書が必要
(3)コンピュータ化されていない戸籍は取得不可
(4)申請者が取得できる戸籍は夫または妻(配偶者)、父母・祖父母など(直系尊属)、子・孫など(直系卑属)に限られる。きょうだいの戸籍は取得不可。
実際の相続手続きでは、各相続人の最新戸籍も必要になりますので相続人にきょうだいが含まれる場合は、きょうだいの協力も必要です。請求者本人が市町村窓口へ行くことで他地域の本籍地の戸籍がまとめて取得できるようになりましたが、本人が出向くことができない場合、専門家等に依頼する場合は、いままでどおり各本籍地へ請求することになります。