はじめに

定年後の心の安定を保つための投資の心構え

心の安定はお金の安定という背景によって成立する一面があります。お金の安定という面においては、預貯金や変動10年国債といった安全資産を1000万~2000万円ほど持っておくことが挙げられます。

なぜ、安全資産で持っておくかというと、先述したように運用資産には暴落という現象が起こり得るからです。暴落してから回復するまで5年程度続いた例が過去に何度かあり、この間は運用資産の価値も下がっているので、売却すると損失となります。最悪の場合、5年間続く恐れのある暴落期間を乗り切るには、年金だけで生活できるならそれで乗り切り、難しいならば、安全資産を取り崩して乗り切るのがベターでしょう。

著書「マンガと図解 50歳からの新NISA×高配当株投資」(KADOKAWA)より

過去を見ると、暴落が収まったあとは必ず上昇して、暴落前の水準を超えています。ここまで5年を想定して話をしてきましたが、これは最悪のケースで、おおむね3年程度で収束します。こうした事実を学び、備えておけば、心に余裕を持たせることができるでしょう。

保有する株の売却を考える3つのタイミング

株を売却するタイミングとしてまず挙げられるのが、業界全体が縮小するなどして、企業の成長が伸び悩んでいるときです。取り扱う商品のニーズが低下しているにもかかわらず、方向転換できていないような企業は要注意です。

また、不正やコンプライアンス違反があったときも売却タイミングのひとつです。特に現代の世間の目は厳しく、拡散速度も速くなっています。評判が悪化すると株価に大きく影響するので、売却するときはなるべく早く売却しておきましょう。

ほかにも、経営陣の交代による会社の方向性の転換は、売却の可能性を念頭に置いておきたいところです。カリスマ経営者の退陣は、その後の成長戦略に関わることを意識しておきましょう。

いずれにせよ、これらの状況が起こると株価が下落していく傾向にあります。業績の悪化はすなわち配当を出すための純利益の減少ですから減配、優待改悪などにつながり、さらには株価下落を呼び込むので、長期投資には極めて不向きな銘柄となります。

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