はじめに
ライフプランと聞くと、どんなイメージをお持ちでしょうか?保険に加入する時や住宅購入をする時に作ってもらうもの、といったイメージをお持ちの方が多いかもしれません。
ライフプランは「人生設計」や「生涯の生活設計」ともいいます。豊かな理想の人生を実現するために、生涯のお金の出入りを把握し、計画を立て、実行に向けての準備をするものです。
誰もが生きていく上でお金の計画は必要ではあるものの、まだまだライフプランを作ることは当たり前とはいえません。また、「ライフプランを作るメリットがよくわからない」といった声も聞きます。
本記事では、ライフプランを作ることでどんなメリットがあるのか、事例を交えながらご紹介します。
ライフプランは家を買った「あと」にも必要
ライフプランを作成するタイミングで最もイメージしやすいのは、住宅購入、子どもの進学、定年退職といったライフイベントに関わるお金の準備が必要になるときでしょう。現在の家計の状況と今後のお金の流れを把握し、それぞれのライフイベントにかかる費用を想定します。
ライフイベントの実現が現状では難しい場合、早めに対策をしておくことで、ライフイベントに直面した時にお金を理由に諦める、妥協する、といったリスクを減らすことができます。
とはいえ、大きなライフイベントがなければライフプランを作るメリットはない、というわけではありません。
たとえば、すでに住宅を購入して住宅ローンを返済中の場合もライフプランを活用することができます。Aさんの事例でみてみましょう。
Aさん(40歳)は住宅ローンを返済中です(借入額4,300万円、借入期間35年、完済時年齢73歳)。退職する65歳までに住宅ローンを完済したいと思っています。
繰り上げ返済を行う場合、貯蓄状況と他のライフイベントに関わる支出のタイミングを考慮した上で、効果的なタイミングを選択する必要があります。
ライフプランを元にシミュレーションしたところ、住宅ローン控除が終了した翌年の52歳時点と、退職金受取り予定の60歳時点で600万円ずつ繰り上げ返済を行った場合、65歳で住宅ローンを完済することができ、返済額は約160万円軽減されます。さらに、繰り上げ返済資金の準備も含めた資産形成を行うことで、Aさんが90歳時点での総資産額は約1,200万円増加します。
実際に繰り上げ返済を行うかどうかは、その時の資産運用や貯蓄の状況に左右されるので、その時になってみないと最終判断はできません。しかし、判断を行うタイミングの目途や繰上げ返済を行う資金がなければ、選択をすることもできません。繰上げ返済を想定してライフプランを作成しておくことで、選択の幅を広げ、繰上げ返済による経済的効果を高めることができるのです。