はじめに

老後の備えとしてiDeCoやNISAを活用されている方も少なくないと思いますが、「とりあえず1万円」などと安易な金額で積立を始めていませんか? 目標を定めずに積立をしていると充分な金額が準備できないままとなってしまいます。


老後資金の計画の立て方

筆者はファイナンシャルプランナーとして、お客様の老後の資産形成のお手伝いをしておりますが、「なんとなく」NISAやiDeCoを始めましたという方が多いことをとても心配しています。

NISAやiDeCoといった国が推奨する税制優遇の仕組みに関心を持ち、始めることはとても大切なことです。ただ、特に老後のためを目的とするのであれば、もう少し積立計画を練る必要があるのではないかと思っているからです。

例えば、住宅を購入するための頭金や子どもの大学費用などは、お金を使う時期や必要な金額がはっきりしやすいので、具体的な目標額とそれを達成するための毎月の積立額を算出することができます。

仮に10年後に300万円を目標にするのであれば、月に必要な積立額は25,000円ですし、想定利回りを3%とするのであれば、月に必要な積立額は21,000円と計算が可能です。

一方、老後は、いつからを老後とするのか、いつまでその老後は続くのか、病気や介護にかかるお金はいくらを想定したら良いのかなど不確定要素が多く、どうしても目的がぼんやりしがちです。

結果として目標額を決められないまま「とりあえず1万円」などと積立を始め、iDeCo、NISAをしている自分に満足し、「将来は大丈夫」と暗示をかけている方も見受けられます。

また、それを投資によって作りだそうとすると、窓口となる金融機関も「投資は余裕資金で」とか「無理のない金額で」などというものですから、余計に「とりあえず」1万円などと無難な金額を設定してしまいがちです。

無理のない金額で投資をスタートさせることは良いことですが、始めた後、何も学ばない、何も検証しない、何も見直しをしないでいては、いつまでたっても本来の目的であった充分な老後資金は貯められないのです。

前述したように、老後の計画の難しさは不確定要素の多さにあります。いつからを老後と考えたら良いのかは、「仮」で良いので自分で決めます。何歳まで生きるのかもわかるわけがないので、「仮」で決めます。病気や介護にかかる費用も、あまりにもたくさんのケースを想定しても意味がないので、これもまた「仮」決めをして前に進む、これが老後の計画を立てるコツです。

筆者は、「75歳の自分が年金だけで暮らせる状態を作る」ところから仮設定をすることをお勧めしています。仮説から計画をたて、実行し、見直しをしながら継続します。つまりPDCAを回しながら、現実的に実行可能な計画を見つけることが重要なのです。

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