はじめに

国民年金基金で老後資金を準備する

次に国民年金基金についてみていきます。国民年金基金は、加入時に受け取れる年金額が確定しています。運用実績次第で受け取れる年金額が変わるiDeCoとの大きく異なる点です。

掛金は加入時の年齢と選択した年金の型により決まります。非正規雇用者の場合、掛金の上限はiDeCoと同じ、月額6万8,000円(年額81万6,000円)に定められています。一度加入すると自己都合で脱退することはできません。加入口数を増やしたり、減らしたりすることができるので、支払いが難しい状況になったときには掛金を減額できます。余裕のある場合は、掛金を前納すると割引を受けることもできます。

iDeCoと比較しやすくするために、同じように40歳女性が60歳まで月約6万4,000円の掛金を設定した場合、受給額がどうなるかを確認してみましょう。

・加入年齢 40歳2ヵ月
・A型(終身年金・15年間保証) 6口
・Ⅲ型(15年確定・60歳支給開始・15年間保証) 6口
以上の条件で加入すると、毎月の掛け金は6万1,610円となります。

受給額は、60歳から65歳までは月額約3万1,500円、65歳から75歳までは月額約7万3,500円、75歳以降は月額約4万2,000円の終身受け取りとなります。加入年齢によって保険料や受給額は大きく変わります。国民年金基金のWebサイトで詳しいシミュレーションができるので活用しましょう。

国民年金基金は、加入したときに将来の年金額が決まる仕組みです。そのため、物価上昇(インフレ)が進み続けると、将来受け取る年金の実質的な価値が、今より下がっている可能性もある点には注意が必要です。

iDeCoと国民年金基金は併用できます

iDeCoと国民年金基金は併用が可能です。ただし、掛金の限度額は共通のため、両方に加入する場合は、限度額内におさまるよう調整が必要となります。どちらか一方に加入することも、両方に加入することも選択肢の一つです。どちらも掛金を増減できるので、両方に加入し、その後の余裕資産や運用評価を見ながら掛金を調整することができます。

iDeCoと国民年金基金の比率についてのご質問をいただくことがありますが、正解はありません。ある程度のリスクを取っても将来受け取れる年金額を増やしたい、終身の年金受取にこだわらない場合はiDeCoを、将来受け取れる年金額をあらかじめ確定させたい、終身で年金を受け取りたい場合は国民年金基金を考えてみるのもいいかもしれません。それぞれの特徴についてよく理解した上で、自分に合った老後資金の準備方法を見つけることが重要です。

安心な老後実現のために

まずは老後の生活を具体的にイメージすることからはじめてみましょう。さまざまな選択肢があり、それぞれのメリット・デメリットを理解することは難しく感じるかもしれません。しかし、40代非正規雇用者にとって、老後資金準備のための資産運用を行わないことが一番のデメリットです。

自分が将来受け取ることができる年金額を確認し、これからの人生で必要になりそうな費用を明確にした上で、できるだけ早く老後資金づくりを始めることが、安心な老後の実現に繋がります。

【監修】伊達有希子/ファイナンシャルプランナー(CFP、1級FP技能士)

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