はじめに
非正規雇用でも厚生年金に加入できる可能性も
非正規雇用であっても、1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3以上である場合、厚生年金に加入できます。
また、短時間労働であったとしても、以下の条件を満たせば厚生年金の加入対象となります。
2.所定内賃金が月額8.8万以上
3.2か月を超える雇用の見込みがある
4.学生ではない
現在は厚生年金の被保険者数が101人以上の企業等が対象となっていますが、2024年10月からは厚生年金の被保険者数が51人以上の企業等が対象となります。厚生年金の適用拡大は進んでいるので、ご自身が加入対象となる可能性はないかを確認してみましょう。
ただし、厚生年金は現役時代の収入と加入期間によって老後に受け取る年金額が決まります。そのため、今から厚生年金に加入できたとしても、もらえる年金額は収入と加入期間によるため、加入したから安心というわけではありません。また、働き方や勤め先によっては、厚生年金への加入を希望したとしも、必ずしも叶うとは限りません。
ご自身が今すぐできる対策として、老齢基礎年金に上乗せできる「iDeCo(個人型確定拠出年金)」と「国民年金基金」があります。
iDeCo、国民年金基金ともに、掛金の全額が所得控除の対象となり、所得税や住民税が軽減されるメリットがあります。また、将来的に受け取る年金も公的年金等控除の対象となり、年金にかかる税金を軽減できます。
iDeCoで老後資金を準備する
iDeCoは公的年金に上乗せする私的年金の1つです。金融機関を通して専用の個人口座を開き、あらかじめ選ばれた運用商品(投資信託、預金など)のなかから、金融商品を選択し、毎月決まった額を積み立てて自分で資産運用します。
60歳になるまでお金を引き出すことはできません。将来受け取る年金は選択した商品の運用実績によって変わります。
国民年金に加入している非正規雇用者の掛金上限は、月額6万8,000円(年間81万6,000円)となっています。毎月5,000円以上、1,000円単位で任意に掛金を設定することができます。途中で掛金を変更することも可能ですが、変更は年1回までと決まっています。
たとえば、「単身世帯」の毎月の生活費の平均額14万3,139円を年金で受け取るには、iDeCoの掛金はどれくらい必要になるかを試算してみましょう。
仮に40歳の女性が60歳まで月6万4,000円を年利3%で積み立てたとします。すると、61歳から90歳までの間、約月7.7万を受け取れます(受取期間中は年利1.5%で運用)。老齢基礎年金の受給額が月額約6万6,250円(満額)なので、iDeCoとあわせると、単身世帯の生活費平均額をカバーできます。
ただし、iDeCoは自己責任で運用するため、選んだ金融商品によっては、支払った掛金の合計よりも、老後の年金額が下回ってしまう「元本割れ」の可能性がある点には注意が必要です。長期で継続することで、元本割れのリスクを軽減することも可能ですので、税金の控除を受けながら老後資金を準備していきましょう。
また最近の物価上昇(インフレ)に対応するためにもiDeCoは有効です。お金の価値は物価上昇によって目減りしてしまうため、物価上昇に負けない資産としてiDeCoへの積立を活用してみてはいかがでしょうか。