はじめに

厚生労働省が発表した「令和5年就労条件総合調査」によると、勤続20年以上かつ45歳以上の退職者(大学・大学院卒)の退職金の平均額は、早期退職で2,266万円と定年退職と比べ370万円上回っています。退職金の増額は見込めるものの、早期退職をしても大丈夫なのか? 検討する場合のポイントについてお伝えしていきます。


早期退職プログラムに応募したいが不安…

筆者の元へ退職後の生活設計について相談に来られたAさん。勤務先で早期退職プログラムの募集が始まり、応募しようか迷われているとのことです。Aさんは現在59歳の会社員、定年は60歳で、定年後は1年ごとの雇用継続になり給料は半減となります。一応、年金をもらえる65歳になるまでは働き続けようと考えていたところへ、早期退職プログラムの通知が届いたのです。

内容をさっと見たところ、退職金の割り増しとして年収1.5年分を上乗せと記載があります。最悪、慎ましく暮らせば65歳になるまで無収入でもなんとかなるのではないかと思うようになり、また、『応募人数の上限に達し次第、募集を締め切る』の記載から、これは早めに決断しなければ、と個別相談をお申し込みいただいた次第です。

早期退職プログラムとは?特に確認すべき2つのポイント

会社によって早期退職(優遇)制度、希望退職制度など名称が異なるケースもありますが、要するに、業績悪化や組織の再編などを理由として定年前に退職者を募集する制度です。一般的には「会社都合」の退職扱いになり、退職金の増額などの優遇措置もあります。その上で、特に確認しておくべきポイントを以下に挙げます。

・優遇措置の確認
Aさんの場合、退職金の割り増しとして年収1.5年分の上乗せ、ということですが、その他の優遇措置についても確認必須です。例えば、再就職支援がある場合、人材紹介サービスなどと連携してキャリアカウンセリングや再就職先を紹介してもらえたり、また、未消化の有給休暇を買い上げてもらえたり、といった特別措置を儲けているケースがあります。

・退職理由の確認
いわゆる退職理由が自己都合、あるいは会社都合のどちらに該当するかは非常に重要です。というのも、再就職がすぐに決まらない時、受け取れる失業給付(基本手当)の日数に影響があるからです。そのほか、雇用保険に加入していた期間や離職時の年齢によって、失業給付の日数が変わるのも、で合わせて確認しておきたいところです。

Aさんの場合、退職理由は「会社都合」、雇用保険の加入期間は33年、離職時の年齢59歳になるので最大330日の失業給付になることがわかりました。なお、退職後に国民健康保険に加入する場合、保険料軽減の対象となることも確認できました。すぐに再就職しない場合は、健康保険も自分で選択する必要がありますし、60歳になるまでは国民年金保険料の納付も必要となります。

次に早期退職のメリット・デメリットについてもお伝えしました。

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