はじめに
海外投資家も日本株に注目
加えて、日本株に海外投資家が注目するようになってきました。
2020年8月に米国の著名投資家ウォーレン・バフェット氏が日本の5大商社株(伊藤忠商事、丸紅、三菱商事、三井物産、住友商事)を購入し、さらに2023年に保有比率を高めたことは、日本株を33年ぶりの高値に押し上げる一因となったと考えられます。
今年は、中国株の先行きに懸念する中国の投資家たちがETFを通じて日本株を買っていると報じられるなど、日本株が投資先としてホットであると考えられているようです。
ただ足元では、日銀の金融政策正常化に向けた動きへの警戒感が意識されていることに加え、中国市場が底打ちしてきているので、中国の資金が日本株から抜ける可能性などもあり日経平均は米市場に比べて動きは鈍く見えます。
中長期的には少子高齢化で労働力の減少や社会保障費の増加が企業の収益に影響し、消費需要の減少も懸念されます。また技術力でも競争力低下や技術革新のスピードに遅れを取ることで市場シェアを失う可能性もあります。リスクもあるということは認識しておいてください。
日本株は中長期的に上昇の可能性
ここで日本株の先行きについてですが、足元では日本の実質賃金は前年同月比2.5%減の24カ月連続の減少となっています。給与は伸びているもののインフレに追いつかない状態が続いているようです。24カ月連続での実質賃金のマイナスはリーマンショック前後の記録を超えており1991年以降の記録で過去最長を更新しています。とはいえインフレと賃上げがどちらも実現してきてはいて、デフレ脱却、そして名目GDPの成長への期待感が高まっているようです。
名目GDPは、国内で生産された財やサービスの市場価格に基づく総額を表します。インフレにより、商品やサービスの価格が上昇すると、それらの市場価格も自然と高くなります。つまり、インフレは単価の上昇をもたらし、結果として名目上のGDPが増加します。
インフレにより企業が製品やサービスの価格を引き上げることができると、企業の売上高も増加します。コスト上昇を価格転嫁できる企業では利益も増えるため、これが株価を押し上げる要因となります。インフレが期待されると、将来のキャッシュフローを現在価値に割り引く際の実質利子率が低くなるため、企業の評価額が上昇します。これも株価上昇の一因です。さらに経済成長や企業収益の改善を織り込んで株価が上昇することも考えられます。
前述した資本効率の改善などの企業の取り組みに、名目GDPの成長が追い風となって企業利益が増加していくと日本の株価は中長期的に上昇する可能性があるでしょう。
インフレだと、シンプルに貨幣の価値が下がるので株は相対的に上がる、とも考えられます。良い話ばかりではなく、日本円の価値が落ちて日経平均が上昇するという可能性も考えておいた方が良いでしょう。実際に円安進行で海外から見ると日本株も割安感が増している側面があり、日本はエネルギーなど必需品を多く輸入に頼っているためインフレヘッジとしての投資も考えておきたいところです。個人的には日本株への投資ももちろん優位性がありますが、地域分散(アメリカや他の国々へ分散した)投資も検討しておくといいと考えています。