はじめに
米国株式インデックスファンドとは?
米国株式インデックスファンドは、1本で複数の米国株に低コストで投資できます。
米国株価指数にはいくつかありますが、人気の高いのが「S&P500」です。S&P500は、米国のニューヨーク証券取引所(NYSE)やナスダック(NASDAQ)に上場する銘柄の中から、主に時価総額の大きな主要500社の時価総額をもとに算出される株価指数。米国株式市場の時価総額約80%をカバーしています。
S&P500に連動するインデックスファンドには「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」[信託報酬:年0.09372%]などがあります。
S&P500の投資先は次のようになっています。
<S&P500の投資先の業種・組み入れ上位10銘柄>
S&P500のファクトシート(2024年4月末時点)より(株)Money&You作成
S&P500でももっとも多い業種は情報技術です。全世界株のMSCI ACWIよりも割合は6%ほど多くなっています。多少の割合の違いこそありますが、全世界株とは業種の差はあまりないことがわかります。組み入れ上位10銘柄も、TSMCが抜けてバークシャー・ハサウェイが入った程度で、大きくは違いません。
<S&P500のトータルリターンとリスク>※ドルベース
S&P500のファクトシート(2024年4月末時点)より(株)Money&You作成
一方、違いがあるのがS&P500のトータルリターンとリスクです。3年・5年・10年の期間で見ると、MSCI ACWIよりもS&P500のほうが年3〜4%ほどトータルリターンが高くなっています。それでいて、リスクは1%ほどしか変わっていません。MSCI ACWIの場合、成長力の面で米国を下回る国にも投資しているのに対し、S&P500は米国株式に100%投資しています。その結果がトータルリターンの差になっています。
しかし、言い換えてみれば、米国に集中投資した結果ということでもあります。さらにあくまでも過去の結果であり、今後も上回る保証はないことは付け加えておきます。
高配当株ファンドとは?
高配当株とは、配当利回りの高い株のことです。配当利回りは、株価に対して年間でどのくらい配当金を受け取れるかを示す指標。「年間配当金÷株価×100」という式で算出できます。配当利回りは3%を超えると高配当といわれます。
高配当株ファンド・ETFで人気が高いのは、米国高配当株ETF「バンガード・米国高配当株式ETF(VYM)」です。投資先の業種・組み入れ上位10銘柄は次の通りとなっています。
<VYMの投資先の業種・組み入れ上位10銘柄>
VYMのファクトシート(2024年4月末時点)より(株)Money&You作成
全世界株式や米国株式インデックスファンドとは傾向が違うことがわかります。もっとも多い業種は金融で、情報技術はそれほど多くありません。
組入銘柄上位を見ると、トップのブロードコムは半導体メーカー、JPモルガンは金融業、エクソンモービルはエネルギー、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)やジョンソン・エンド・ジョンソンは生活用品という具合に、少し顔ぶれが違います。
なお、多くの高配当株ファンド・ETFは銘柄数が数十銘柄に絞っているものが多いのですが、VYMは大型株のうち配当利回りが市場平均を上回る銘柄で構成されていて、投資対象が非常に多いのが特徴です。2024年4月末時点で、557銘柄あり、S&P500よりも銘柄が多い状況です。
<VYMのトータルリターンとリスク>※ドルベース
Morningstarのウェブサイトより作成
リスクは全世界株よりは控えめです。優良な高配当株は下落相場でも安定的に配当を出す傾向があるので、値下がり局面になると投資家からの需要が大きくなります。そのため、相場全体の下落に強く、また下落から一足早く抜け出す傾向にあります。
気になるVYMの分配金利回りですが、2024年5月17日時点で2.81%です。2019年5月以降の分配金利回りの推移は以下の通りです。
<VYMの分配金利回り(2019年5月〜)>
Seeking Alphaのデータより
2020年に急上昇しているのはコロナショックによる株価下落の影響でしょう(分配金利回りは株価下落=投資信託の基準価額の下落によって上昇するため)。基本的には、3%前後で推移していることがわかります。
なお、高配当ファンドにはETFだけでなく、投資信託でも低コストのものがたくさん出ています。「SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド(年4回決算型)」[信託報酬:年0.1238%]や「楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド」[信託報酬:年0.192%]はいずれもVYMに投資する投資信託です。
また、「SBI・日本高配当株式(分配)ファンド(年4回決算型)」[信託報酬:年0.099%]なら日本の高配当株にまとめて投資が可能。組入銘柄の配当利回りは4.61%(2024年5月8日時点)と高いうえ、初回(2024年4月10日)の分配金は140円。2023年12月に新規設定されたばかりなので、分配金利回りはまだわかりませんが、4%近くは期待できるかもしれません。
投資信託はETFと違って一定額ずつ少額から購入できるうえ、積立投資もしやすいのがメリットです。