はじめに

運用資産の規模が小さいと経営の継続性に疑義が生じる

ある程度の運用資産がないと、投資信託会社は経営が成り立ちません。したがって、投資信託を購入する時には、自分が購入してみようと思っているファンドの運用会社が、どの程度の規模を持っているのかもチェックする必要があります。

2024年4月末時点で、投資信託の運用資産が最も多い投資信託会社は、野村アセットマネジメントの59兆6389億3200万円です。

逆に最も運用資産の規模が小さいのは、アクサインベストメントマネジャーズの5200万円です。アクサの場合、世界的な運用会社であり、日本国内では投資信託以外の運用も行っているので、会社としては十分存続しうると思うのですが、独立系に近い形態の投資信託会社で、専ら個人マネーの運用に特化している場合は、運用資産の規模が小さいと、経営の存続性に疑義が生じてきます。

たとえば運用資産規模が29億1900万円のSUSTENキャピタル・マネジメントの損益計算書を見ると、2023年12月決算の営業収益は1085万7000円。ここから諸々の経費を差し引いた最終損益は、8億5045万6000円の赤字です。

また、4月25日から2本のファンドを設定・運用開始したなかのアセットマネジメントも、もちろんこれから頑張って運用資産を大きく増やしていくのだとは思いますが、運用資産の規模は5月30日時点で35億1300万円です。

「なかの日本成長ファンド」の信託報酬のうち、投資信託会社であるなかのアセットマネジメントが受け取れる料率は年0.582%、「なかの世界成長ファンド」のそれは年0.312%です。両ファンドの平均値が年0.447%ですから、1年経過した時点で運用資産が200億円になったとしても、そこから得られる営業収益は8940万円です。恐らくこの程度の営業収益では、単年度黒字は難しいでしょう。ここは踏ん張りどころです。頑張って欲しいと思います。

投資信託会社の財務諸表をチェックする

投資信託はその仕組み上、たとえ投資信託会社が廃業したとしても、受益者の資産は保全されます。とはいえ、前述したように繰上償還されれば、運用の継続性が断たれてしまいますし、前回も説明したように、NISAで運用していたりすると、今後の運用プランに大きな狂いが生じることになります。

こうした点を考慮すれば、やはり運用資産規模がある程度大きな投資信託会社を選ぶに越したことはない、ということになるのです。

ちなみに、投資信託会社のホームページには、「財務情報」という項目があり、そこを見れば貸借対照表や損益計算書が過去分も遡ってみることができます。損益計算書を見て、赤字が続いているような投資信託会社は避けた方が無難ともいえます。

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