はじめに

「日ごろの生活や将来に向けて、最も不安な項目はなんでしょうか」。

生命保険文化センターのアンケート調査によると「自分が病気や事故にあうこと」がトップで18.6%という結果がでています。

それを反映しているのかも知れませんが、生命保険のなかで、新規契約件数が最も多いのが医療保険です。同じく生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によると、18~79歳の加入率は、65.7%というデータがあります。

もっとも売れているジャンルのため、生命保険会社は商品開発に力を入れていて、価格競争・開発競争を繰り返しています。そして医学の進歩や入院の短期化などの変化にともない、ここ10年で大きく変化してきました。

今回は医療保険の選び方、そしてかしこい入り方について考えていきましょう。


医療保険とは、入院や手術を保障する保険

そもそも医療保険とは、入院や手術などに備える保険です。ですので、通常は入院や手術をしない場合には、保険金を受け取ることはできません。通院給付金もありますが、やはり入院を条件にしています。

つまり、多くの人が加入しているものの、じつは優先度の低い保険であり、言い換えれば必要性は低い保険ともいえます。その理由は、日本の健康保険制度が充実しているのでもともと自己負担額は、それほど多くないからです。

病院の窓口で支払うお金は、健康保険があるので一般的にかかった医療費の3割です。さらに高額になったときでも、高額療養費制度があるので、自己負担額の上限が決まっています。一般的な所得の人ならば、入院や手術をして100万円以上かかったとしても自己負担額は約9万円前後になります。つまり、入院や手術の負担は大きくないので、本来は保険ではなく貯蓄で対応する方が合理的です。

よく入院したときに、「医療保険に入っていて良かった」という声を聞きます。しかし、受け取った給付金の額と、それまでに支払った保険料とを比べてみれば、その考え方は変わるのではと思います。

ある程度の貯蓄がある人にとっては、入る必要性の低い保険なのです。

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