はじめに

物価上昇が続く一方、住宅ローンの金利は変動型と固定型で差が開いたまま推移しており、多くの方が変動金利型を選択されています。固定金利型と変動金利型の金利を比較すると、月の返済額に数万円の差がでることもあり、固定金利型から変動金利型への借り換えを検討される方もいらっしゃるようです。

住宅ローンの借り換えはオンラインで手軽に試算できますが、シミュレーションを利用する際には知っておきたい注意点があります。Aさんの事例をもとにお話ししていきます。


Aさんは、6年前にマイホームを取得し、現在は住宅ローンの返済を続けています。続く物価上昇により家計収支が厳しくなってきたことで、固定金利型から変動金利型の住宅ローンへの借換えを検討されはじめたそうです。借換えを検討する中で、Aさんはインターネットでできる借換えシミュレーションを利用しました。それによると借換えによる効果は約400万円。老後資金のためにも借換えをした方がいいのかと悩まれ、セカンドオピニオンとして筆者のもとにご相談にいらっしゃいました。

約400万円の借り換え効果が出た理由

Aさんが行ったシミュレーション結果は、約400万円の借り換え効果が見込まれるとのものでした。このような大きな借換え効果となったことには以下の様な理由が考えられました。

1.金利差が大きかったこと
住宅ローンの借換えによる効果は、利息軽減額から借換えに伴い必要な費用を差し引くことで求められます。利息額は原則、借入残高に金利を掛け算して算出されます。Aさんが現在借入れている住宅ローンは全期間固定金利で、適用されている金利は年1.3%でした。一方、シミュレーション時に利用したのは変動金利型のもので年金利0.3%以下です。借換え前後の金利差は約1%ありましたから、利息軽減額が大きくなりました。

2.借換え時期が比較的早期だったこと
Aさんが試算した住宅ローンの残高は約3,400万円でした。借入からまだ6年ということもあり、住宅ローン残高のほとんどが残っている状況でした。返済方法が同じとき、借入残高が大きいほど金利の違いによる利息額の差は大きくなります。

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