はじめに

2024年1月にNISAの制度改正が行われた結果、注目を集めつつある投資信託。これを機に初めて投資信託を買う人もいるでしょう。でも、その投資信託にまつわる誤解はたくさんあります。それを数回に分けて説明します。今回は「コスト」について。


投資信託のコストを理解する

投資信託を購入、保有して解約するまでにかかるコストを、簡単に説明しておきます。

まず購入した時にかかるのが「購入時手数料」です。これは投資信託の販売窓口である販売金融機関に対して支払うもので、一般的には購入した金額に対して2%程度とされていますが、最近はオンライン証券会社を中心にして、無料化を進めているところが増えています。

次に保有期間中は、「運用管理費用(信託報酬)」が取られます。運用管理費用はファンドの信託財産から日々、年率相当のものが差し引かれていきます。これは投資信託会社、信託銀行、販売金融機関の三者で分けるもので、近年、コスト引き下げ競争の中心にあるのが、この運用管理費用です。料率はファンドによって異なり、かつては年2%程度取られていましたが、昨今は年0.05775%といった低率のファンドもあります。

最後に解約時にかかるコストですが、一般的に投資信託の場合、大半は解約時手数料などを取りません。この点はあまり気にしなくても良いでしょう。

インデックスファンドの価値はコストの低さではない

恐らく投資信託を購入する人たちの大半は、購入窓口としてオンライン証券会社を選ぶでしょうから、購入時手数料は無料がほぼ定着しています。そのため、投資信託をめぐる昨今のコスト引き下げ競争は、もっぱら運用管理費用が主戦場となっています。

また購入者の間でも、「運用管理費用は安いほど良い」という認識が定着しています。

確かに、年率2%と年率0.5%とでは、1年間の運用で1.5%ものコスト差が生じます。銘柄選択力や調査能力、トレード能力で、年1.5%を稼ぎ出すのは非常に難しいと言われているので、購入者からすれば、できるだけ運用管理費用の安いものを選びたいという気持ちは十分に理解できます。

ただ、それはアクティブ運用に関しての話であり、少なくともインデックス運用に関しては当てはまらないのではないかと考えます。

昨今の事例でいうと、三菱UFJアセットマネジメントが運用する「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」が、年0.05775%という低い運用管理費用の料率で人気を集めています。

このファンドは、「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」に連動する成果を目指して運用される、インデックス運用のファンドです。インデックス運用は、連動対象である指数に対して、どこまで同じ運用成果を上げられるかが、最大の評価軸になります。

やや乱暴な言い方になりますが、インデックス運用の場合、連動対象である指数に対してほぼ同じリターンが実現できていれば、運用管理費用の料率が年0.05775%でも、年2%でも、どっちでも良いということになります。

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