はじめに

ローコストはアクティブ運用にこそ有効

三菱UFJアセットマネジメントが運用する「eMAXIS」シリーズのうちSlimは、販売金融機関をオンライン金融機関にし、開示資料などを電子交付にすることでローコスト化を実現するという建付けになっています。

一方、eMAXISシリーズには実店舗で販売している「eMAXIS」があり、そのなかにも「全世界株式(オール・カントリー)」があります。こちらは実店舗で販売するためコストが割高になり、運用管理費用の料率は年0.66%になります。

年0.05775%と年0.66%とでは、それなりの差になりますが、果たしてそれが運用成績にどのような影響を及ぼすのかを計算してみると、両ファンドの運用成績には、それほどの差が認められません。2018年10月31日を100とした両者の基準価額は、2024年5月31日時点で、eMAXISが246.74、eMAXIS Slimが249.94です。5年と7カ月の運用期間で3.2ポイントの差は、誤差の範囲といっても良いでしょう。

ちなみに、総経費率で見たコスト差はどうかというと、eMAXISが年0.69%、eMAXIS Slimが年0.15%で、これも結構な差ではありますが、運用成績にはほとんど差が生じていないのが現状です。

前述したように、インデックス運用の優劣は、連動対象の指数に連動しているかどうかで評価されますから、いくら指数に比べて高いリターンを実現したとしても、そもそも高評価にはつながりません。

もちろん、運用管理費用が下がれば、インデックス運用でも余計なコストがかからない分、連動対象の指数に対して、より高い連動率を維持できると考えることもできますが、コンマ数パーセントのところでしのぎを削ったところで、恐らく連動率に及ぼす影響も、それほどではないものと考えられます。

「運用管理費用が安いファンドほどリターンに好影響を及ぼす」のは、アクティブ運用にこそ当てはまりますが、それをインデックス運用にまで当てはめようとするのは、却って正しい理解の妨げになります。

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