はじめに
新NISAでも注目を浴びているインド株の投資信託やETF。2024年上半期は高いパフォーマンスを示しました。インドは昨年中国を抜き、世界1番目に多い人口を抱える国となりました。
所得水準の上昇や中間所得者層の増大は継続する見通しで、世界最大の消費地になるとの期待も。世界が分断されていく懸念もあるなかで日本、米国のほかにインドにも少しずつ投資をしていくのも大事かもしれないと思っています。今回はインドへの長期投資や、インドのETF、投資信託を活用することのメリットや具体的な商品についてお伝えいたします。
インドの成長
インドは世界で最も急速に成長している経済の一つで、その成長率は引き続き高い水準を維持する見通しです。インドは世界で最も若い人口を持つ国の一つであり、労働力の供給が豊富です。この若い人口は、将来的に消費市場の拡大や労働生産性の向上につながると期待されています。人口ボーナスがこれから来るわけですね。また中産階級の拡大、個人消費が活発で内需の成長が目覚ましいこと、都市化の進展などが経済成長を支えています。
2024年1月末にインド財務省は改革の進展によって今後3年で国内総生産(GDP)を5兆ドルに乗せ、日本を抜いて世界第3位の経済大国になるとするレポートを発表しています。さらにインドのGDPは23年末時点での名目GDP実額は推計で約3.7兆ドルでしたが2030年までに倍近い7兆ドルに到達すると予測しています。
外国投資の受け入れを促進
2014年に誕生したモディ政権は、積極的な規制緩和やインフラ整備に注力してきました。インド政府は経済改革を積極的に推進しており、外国直接投資(FDI)の受け入れを促進。インフラ整備、デジタル化の推進、税制改革など、ビジネス環境の改善に取り組んでいます。インドにはIT、製造業、医療、エネルギーなど、成長が期待される産業が多く存在します。特にIT産業は世界的に高い評価を受けており、多くのグローバル企業がインドの技術者を採用しています。
インドには魅力的な企業がたくさんあります。例えばインドのITサービス大手のインフォシスは世界46カ国でサービスを展開し、保険業や銀行業、通信業、製造業などを中心に顧客のデジタル化を推進している企業です。
インド最大級にして世界有数の自動車メーカーのタタ・モーターズはインド国内の他に英国、タイ、南アフリカなどでも事業を展開し、ジャガー&ランドローバーを傘下に持っています。
HDFC銀行はグローバルな企業に金融サービスを提供しているインドの3大民間銀行のひとつでオンラインにも強く、コーポレートバンキングおよびカストディ業務(有価証券の保管・管理等を行う業務)なども行っています。
ほかに銀行では、HDLC銀行に次ぐインドのメガバンクであるICICI銀行などもあります。
投資信託選定のポイント
ただ、インドの個別株は、AppleやMicrosoftといった私たちの生活に不可欠であり、かつイメージしやすいサービスを提供している外国株と違って、なかなかなじみのないものも多く、選ぶのも難易度が高いかもしれません。投資初心者の方や、新NISAを活用するなど、長期投資でインドの成長に投資していきたい人にとっては、ETFや投資信託に投資をする方がハードルがはるかに低いと考えます。
投資信託は、初心者でも手軽に投資を始めることができるため、複雑な市場分析や銘柄選定の手間を省けます。特に海外市場への投資に不慣れな投資家にとっては、大きなメリットです。また、複数の株式や債券に分散投資を行うため、リスクを低減できます。
投資信託の選定ポイントは以下のとおりです。
・投資信託の運用方針や投資対象を理解し、自分の投資目的に合ったファンドを選ぶこと
・過去の運用実績を確認すること、安定したリターンを提供しているかを評価すること
・同じ指数を対象にしているETFやファンドの場合は、信託報酬やその他の手数料を比較し、コスト効率の良いファンドを選ぶこと
・運用会社の評判や信頼性を確認し、安心して投資できるファンドを選ぶこと
新規設定のETFやファンドは、最初は荒い値動きとなることもありますので、投資をする際は注意をしたほうが良さそうです。長期投資の場合はあせらず取り組むことも大切でしょう。
インド投資への人気も追い風となり、今年も新たなインド投資の選択肢が増えています。特にコスト面では競争が激しく、どんどん低コストの商品が出ている印象です。投資家としては嬉しいですね。では、注目のインド投資信託、ETFをご紹介したいと思います。