はじめに

Aさんのケースで追納するメリットは?

Aさんの場合、このままでも60歳時点で老齢基礎年金を受け取るための要件をクリアしています。そして、追納を行うことで増える受給額は約2.75万円(年額)です。単純に考えると、約55万円を支払い、20年以上受け取れば元が取れる計算になります。全額免除の場合、追納しなくても年金額の2分の1はもらえるため、増額効果はあまり感じられないかもしれません。

次に、社会保険料控除が受けられることについては、自営業で確定申告をしており経費部分が多いため、追納をして控除を受けるメリットはあまりないということです。

最後に、障害年金を受給できるかについては、しっかりと確認する必要があります。というのも保険料納付要件の原則があるからです。具体的な目安は、保険料納付済期間と免除期間の合計期間が加入期間の3分の2以上あること。これについてAさんの年金記録を確認したところ、納付要件をクリアしていました。

つまり、Aさんが追納をすることで得られるメリットは1つ、老齢基礎年金の受給額が増えること、ただし20年以上受け取れば、になります。

追納額をNISAで投資に回した方がいいのか?

考え方によりますが、追納しないで投資をするとどうなるのでしょうか? 例えば、追納保険料を積立投資に回した場合で試算してみました。

Aさんは毎月納付を行う予定でしたから、その予定で積立投資を行った場合、年利3%で試算すると33ヶ月後には投資額約55万円に対して57.5万円ほどに増えます。33ヶ月後に59歳になったAさんが、仮に65歳になるまで同じ年利で運用を行えたとしたら68.6万円ほどになります。

年金を追納した場合と比べてみましょう。

仮に、年額2.75万円ずつ受け取ると約25年になります。つまり、86歳より長く生きれば、追納した方がよかったということになります。ただし、これはあくまでも机上の計算。必ず、年利3%で運用できるかは不明なこと、また、投資額の取り崩しを行うなどの金銭管理能力が衰える可能性もあります。どちらが正しいかは現時点ではわかりません。ただ、重要なのは自分のケースで試算を行い確認してみることです。

なお、追納ができる目安は、追納が承認された月の前10年以内の免除期間というルールがあります。今回の試算結果を見て、Aさんは、投資と追納の併用を目指す目標ができたようです。

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