はじめに

50代後半に突入すると、老後のことを気にし始める人も多いことでしょう。最大の関心事は、老後のお金が足りるかどうか。実際のところ、お金があれば選択肢は増えますから、老後資金の積み重ねに向けてラストスパートをかけたいところです。今あるお金をどこにかけたら良いのか? と頭を悩ます人もいます。


自己破産から復活、老後資金を作りたい

今回は、数年前に自己破産をしたAさんの事例から考えてみましょう。ある日のこと筆者の元へ相談に来られたAさん。身辺整理も終わり、自営業として再始動、貯蓄ができる状態までになったとのこと。最低でも70歳になるまでは頑張って働き続けるつもりではあるものの、「人生、いつ何が起こるかはわからない」を自己破産で痛感した。将来のことを考え、少しでも老後資金を作っておきたい、一度しっかりと自分のお金についてFPに相談して助言が欲しいとのことでした。

ここで少しAさんの状況についてお伝えしておくと、Aさんは、現在シングルの56歳、85歳のお母様と実家暮らしです。元々、実家ではお父様の生前中、事業を営んでいました。お父様が遺した2つの賃貸物件があり、お母様の生活は賃料収入と年金で賄えています。息子であるAさんが自己破産したことから、お母様の進言を受け入れ、Aさんは実家に戻り、お母様の生活のサポートをしつつ暮らしています。実家、賃貸物件を含めた不動産についてはAさんが相続予定とのことです。

また、Aさんには妹が一人いますが、結婚して持ち家があります。妹夫婦は共働きで、今のところ経済的に問題もありません。Aさんが母と同居してくれるのであれば、不動産をAさんが相続しても異存はないと母経由で聞いています。将来は不確定ですが、今回は相続については深掘りせず、まずはAさんの老後資金について検討することにしました。

国民年金保険料の追納で受けられるメリットを確認

話を聞き進めていくと、自己破産していた時に年金の免除を受けていたというのです。ここで年金の免除制度についてお伝えしておきましょう。経済的な理由で保険料を納めることができないときは、申請することで保険料を免除する制度を利用できます。

免除制度には、全額免除と一部免除(4分の3、半額、4分の1)の4種類があります。Aさんが利用できた全額免除は、保険料の全額が免除となり、その期間については保険料を全額納めた場合の年金額の2分の1(※平成21年3月分までは3分の1)が支給されます。

年金事務所で調べてもらったところ、全額免除の期間は33ヶ月、追納額は約55万円とのことです。追納をすると、年金額が増えると聞いたが、自分の場合はどうなるのかを教えてほしいというのです。そこで、追納して受けられる主なメリットを3つお伝えしました。

1. 老齢基礎年金の受給額が増える
2. 社会保険料控除が受けられる
3. 障害年金を受給できる
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