はじめに

ふるさと納税への影響はあるのか?

定額減税がふるさと納税の利用に影響があるのではないか、と懸念される方もいらっしゃるのではないでしょうか。結論として、影響はありません。

ふるさと納税は、希望する自治体へ寄付として納税をすることにより、自己負担となる2,000円を除いた金額が、本来支払うべき所得税および住民税より控除される制度です。所得等の状況に応じて、所得税や住民税が控除される上限額が決まっています。

このふるさと納税の控除上限額は、定額減税を行う前の所得額等をもとに計算されるため、定額減税により2024年の納税額が減ったとしても、控除上限額への影響はありません。

会社員の場合、6月から定額減税を受けた後に、2025年ワンストップ特例制度または確定申告を行うことにより、ふるさと納税による寄付金控除が適用されます。その際に、寄付金控除を先に適用し、後から定額減税分を差し引く、という順序で算出し直します。

ふるさと納税を利用した影響で定額減税分が引ききれないケースでは、引ききれなかった分に相当する金額は調整給付が行われます。定額減税で引ききれなかった分損をする、ふるさと納税をしたつもりが自己負担になってしまう、などの心配も不要です。

よって、2024年分のふるさと納税の利用にあたっては、例年通り昨年の収入等の状況を参考に利用を進めて問題ありません。ただし、2024年の収入状況に変化がありそうな方、初めて住宅ローン控除の利用を予定されている方など、昨年から変化が予想される方は、2024年の収入等が確定する年末近くになってからの利用をおすすめします。

住宅ローン控除、生命保険料控除、iDeCo(小規模企業共済等掛金控除)についても、定額減税の影響はありません。先に上記制度の利用による控除が適用された税額から、定額減税分が引かれ、引ききれない分は調整給付が行われる、という対応になるため、今まで通り所得に応じた限度の範囲内でふるさと納税を利用してくださいね。

定額減税の適用を確認する方法

会社員の場合、所得税の定額減税分については6月以降に支給される給与明細・賞与明細、源泉徴収票に記載される「定額減税額」で確認をすることができます。

ふだん給与明細は細かく見ていない、という方も、6月以降の給与明細や賞与明細をチェックしてみましょう。

自身の定額減税の効果について確認するとともに、ふだん意識していない毎月の税金の支払を認識することで、税制面で優遇を受けられる制度の活用を考えるきっかけにもなります。

住民税における定額減税額は、「市民税・県民税・森林環境税 特別徴収税額の決定通知書」で確認できます。

給与所得者の場合は例年5月下旬以降に、普通徴収または公的年金からの特別徴収の場合は6月中旬以降に、通知書が送られてきます。

通知書の摘要欄において、「個人住民税減税控除済額」および「控除外額」が記載される予定です。「個人住民税減税控除済額」が個人住民税における減税額、「控除外額」が個人住民税における減税額のうち引ききれなかった減税額のことを指します。ご自身の場合は控除のみで完結するのか、調整給付を受ける可能性があるのかを確認しましょう。

定額減税分を引ききれなかった場合に給付される「調整給付金」は所得税額分と住民税額分を合算し、各市区町村が支給を行うことになっています。支給される時期や方法、必要な手続きについては市区町村によって異なります。お住いの市区町村からのお知らせを確認し、対応漏れがないようにしましょう。

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