はじめに

GPIF (年金積立金管理運用独立行政法人)による2023年度の運用状況が7月12日に発表されました。資料によると昨年度の全体の年間収益額は45兆4,135億円で過去最高となりました。収益率はプラス22.67%でこちらは2020年に次ぐ過去2番目の状況です。


国内外の株式収益が好調

GPIFとは2001年から年金積立金を運用している公的な機関で、世界中の資産に投資運用して資金を増やすことが仕事です。2023年度の年間収益額の内訳を見ると以下のようになっています。

国内債券=-1兆1,421億円(-2%)
外国債券=7兆8,694億円(15.83%)
国内株式=19兆3,928億円(41.41%)
外国株式=19兆2,952億円(40.06%)

これらを見ると、国内外の株式収益が際立って高かったことが分かります。
年金積立金の市場運用を開始した2001年度から2023年度までの累積収益額は、+153兆7,976億円、2023年度末のGPIFの運用資産額は245兆9,815億円です。市場運用を開始した2001年度以降の23年間の平均は+4.24%で、2015年度以降の長期的な運用目標は+1.7%ですので目標を大きく上回っています。

GPIFの投資法

GPIFの収益は、利子や配当金によるインカムゲインと価格変動による損益キャピタルゲインに分けることができます。2023年度のインカムゲインは4兆1,374億円で収益率は1.68%で、運用を開始した2001年度以降の23年間の累積額は51兆1,901億円で収益率は1.65%でした。累積収益額の内訳は以下の通りです。

国内債券=15兆9,720億円(収益率1.16%)
外国債券=11兆5,386億円(収益率2.99%)
国内株式=11兆6,642億円(収益率1.73%)
外国株式=12兆7億円(収益率2.16%)

GPIFでは保有する資産から得られるインカムゲインをキャッシュ(現金)のまま保有せず、再投資しています。理由は長い期間で見れば再投資した方が大きな複利効果が得られるためです。

現在の投資先は国内債券、海外債券、国内株式、外国株式の4つの項目にそれぞれ約25%ずつ均等に資金を振り分け運用しています。均等にしたのは2020年4月からで、過去のポートフォリオでは4資産にバラつきがありました。国内債券の比率が2006年~2014年まではとても高く約60%、2014年~2020年3月までは35%を占めていました。国内の金利低下によって国内債券の利回りが低下している状況等に伴い国内債券の割合を減らし、金利が高い外国債券の割合を増加させました。また運用目標(利回り1.7%)を満たしつつ、最もリスクの小さいポートフォリオを選定しました。その戦略が功を奏して2019年度の累積収益額は57兆5,377億円でしたが、2020年度は95兆3,363億円で1.65倍になり、2023年度は153兆7,976億円で約2.67倍になりました。

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