はじめに

iDeCoやNISA以外で老後資金を準備する

ここからが今日の本題です。「投資はよくわからない。損をしそうで怖い」という場合には、他の方法を取り入れてみましょう。実際に筆者もFPの勉強をする前は投資が怖いというイメージがあり、これから紹介する方法で資産形成をしていました。

強制力のある方法で老後資金を貯めたい人は定額個人年金

民間保険会社の個人年金保険に加入することも公的年金を補うための一つです。60歳や65歳といった契約時に定めた年齢まで保険料を積み立て、一定期間または終身にわたって保険金を年金形式で受け取ることができます。払い込んだ保険料は、一定の条件を満たせば生命保険料控除の対象となります。老後資金を貯めながら、現役時代の所得税や住民税が軽減されるのは有難いですね。

定額個人年金保険は、契約した時点で将来受け取ることができる年金額が決まります。将来の受け取り額が決まっているということは、将来的な資金計画を立てやすいというメリットがあります。

途中解約をすると解約返戻金が払込保険料の総額より少なくなる場合や、まったく戻ってこない場合もある点に注意が必要です。解約しにくいので、強制力のある貯め方ともいえます。長期的な資金準備に強制力が欲しい人や節税効果を期待する人には選択肢の一つになるでしょう。

絶対に元本割れをしたくない人は積立定期預金

積立定期預金は長い時間をかけて地道に貯めることができます。現在の低金利では、増やすというよりは、日常で使ってしまわないように、老後資金用として他の資金と分けて管理するためのものと捉えるといいでしょう。

少額から始めることができ、余裕のある時には増額することも可能です。預け入れた元本は保証されているため、安全性の高さがメリットです。

貯金が苦手な人には、給料が振り込まれる普通預金の口座から積立定期預金の口座に自動で振り替えられるようにするのがおススメです。積立日を給料日の次の日に設定することで、給料から毎月自動的に効率よく先取貯蓄をすることができます。

金利を重視したい場合は、一般的に、メガバンクよりも地方銀行やネット銀行の方が金利は高い傾向にあります。あえてすぐに引き出すことができない金融機関を選ぶのも、コツコツ貯めていくには効果的です。まずは貯蓄の習慣を身につけたい人、元本割れへの抵抗感が強い人は積立定期預金を始めてみましょう。

一生涯受け取れる安心感がほしい人は国民年金基金

自営業やフリーランスなど国民年金の第1号被保険者が加入できる公的な年金制度が「国民年金基金」です。加入した時点で、掛金も将来受け取る年金額も確定するため、資金計画が立てやすいといえます。

加入は口数単位となっていて、1口目は65歳から死亡するまで受け取れる終身年金です。2口目からは7種類のタイプから自由に組み合わせて選ぶことができます。掛金は月額6万8,000円が上限で、掛金全額が社会保険料控除の対象となります。

ただし、一度加入すると解約や途中脱退はできません。加入口数の増減はできるので、支払いが難しくなったときには掛金を減額できます。余裕がある場合は、掛金を前納すると割引を受けることもできます。安定した年金を一生涯受け取りたい人、節税しながら老後資金の準備をしたい人に向いている制度です。

今回紹介した3つの選択肢は、利率より物価上昇率が高くなった場合、資産の価値が目減りする可能性があります。NISAやiDeCoに限らず、どんな選択肢にも何かしらのリスクはあります。自分はどんなリスクであれば許容しやすいのか、リスクを分散するにはどうすればいいのかを考えてみることも大切です。

何も始めないことが一番のリスク

iDeCoやNISA以外にも老後資金を準備する方法はあります。それぞれの制度や特徴、リスクを理解した上で、それらをうまく組み合わせ、自分に合った方法を見つけましょう。老後資金としてどれくらいの資金を準備したいかは、個人の状況によって異なりますが、どの方法も期間が長いほど効果を得られるので、資金作りを始めるならば早ければ早い方がいいといえます。何も始めないことが一番のリスクです。まずはできることから、将来に備えた準備をさっそく進めていきましょう。

【監修】伊達有希子/ファイナンシャルプランナー(CFP、1級FP技能士)

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