はじめに
ファイナンシャルプランナーである筆者の元に、5年後から海外留学をしたいと考えているご家族より、資金計画についての相談がありました。海外留学をするにあたり、留学までにできる資産運用はないのか、また留学までにしておくべき金融機関の手続きの流れについて知りたいとのことでした。本記事では海外留学前に押さえておきたい資産運用のポイントや金融機関での手続きについて解説します。
そもそも「5年」という期間をどう考えるか
投資の三原則に「長期・分散・積立」とあるように、資産運用をする上では、運用先だけではなく運用期間も重要になってきます。長期運用に明確な基準はありませんが、少なくとも10年、理想は15年以上だと筆者は考えています。今回の事例の「5年」は資産運用としては決して長期とは言えません。そのため、価格変動が大きいものではなく、比較的安定的な運用が適しているでしょう。一方で、今回の特徴である海外留学ならではの資産運用方法で、留学後の学費や生活費に備えていくことも可能です。これらを踏まえて具体的な資産運用方法をみていきましょう。
留学先の外貨を積み立てる「外貨預金」
留学後には現地の通貨で生活していくケースが大半だと思います。事前に留学先の外貨を積み立てることも選択肢の一つに入れておきましょう。日本円を現地の通貨に変える場合、通貨同士の交換比率=為替レートの影響を受けます。
例えば、日本円の価値が高い時を円高と言います。留学先の通貨に対して支払う日本円が少ないほど円の価値が高いということになります。学校へ支払う費用を例にお伝えすると、円高の場合、留学費用が100万円で済んでいたものが、円の価値が下がる円安の状態になると200万円支払わなればならないという事が起きます。
円の価値はずっと同じではなく1分1秒ごとに変わってしまうので、一定額を毎月コツコツ積み立てることで、価格が高いときは購入数量を少なく、価格が低いときは購入数量を多くするなどの工夫が必要です。毎月一定額を積み立てる方法をドルコスト平均法と言いますが、平均購入単価を抑える効果が期待できます。留学時の為替に一喜一憂しないためにも、留学先の通貨を事前に積み立てるなどの準備はしっかりしておきたいですね。
さらに外貨預金は、金利面でもお得になる可能性があります。多くの場合、日本円よりも外貨預金の金利のほうが高いため、外貨を積み立てることで、数年かけて金利でも資産を増やしていくことができます。外貨預金を積み立てるにあたっては、現地でも出し入れができる日本の銀行口座を開設することをおすすめします。
日本だけで生活していると為替を意識することは少ないですが、海外留学前にはしっかり意識しておきたいポイントです。