はじめに

自動車保険は相手に対する補償に重点を置きがちですが、自分を守るための保険でもあります。暑さやスマホに気を取られてのうっかり事故が後を絶ちません。万一の事故時に困らない自動車保険を考えます。


自動車保険は何のために入るのか

車を購入する時、車本体の費用の他に、税金や自賠責保険などの諸雑費が見積りの中に入っているのはご存知でしょう。自賠責保険は民間の保険ではなく、国の保険です。車を所有する場合、日本には車検制度があり、検査をクリアするには、自賠責保険を掛けることが条件の一つになっていますから、自賠責保険は皆さん加入されているはずです。

では、民間の保険はどうでしょうか? 一般的には、自動車を所有し、運転を始める場合は、民間の自動車保険に加入するのが常識となっています。なぜかというと、自動車運転中に事故を起こしてしまった場合、ひとにケガを負わせる、ひとのものを壊してしまうなどの賠償が高額になることもあり、自分の貯金では払いきれないことが想定されるからです。

2023年度損害保険料率算出機構の「自動車保険の概況」によると、高額賠償判決例が掲載されており、人身事故死亡の認定総損害額の最高額は5億2853万円です。後遺障害の例では4億5381万円という判決例もあり、いずれも自動車保険に加入していなければ払えない賠償額です。物の損害額も同様で、1億を超える例が何件もあります。

このため、民間の自動車保険に加入するひとの多くは、相手に対する対人賠償・対物賠償の保険金額は、無制限補償を選択しています。

ところが、自分のケガを補償する「人身傷害保険」はというと、5000万円程度にしている人が多いのではないでしょうか? 相手の賠償は無制限補償がほとんどなら、相手から賠償してもらうので大丈夫と考えるひともいるかもしれません。一般的には民間の自動車保険に加入するべきですが、損害保険料率算出機構の統計によると、全国の保有車両8,245万台のうち対人・対物補償を付けているひとは約75%、なんと25%のひとは補償を付けていないことがわかります。全国で自動車保険をつけていない車が2,000万台もあると思うと驚きです。

そのことを考えると、事故の相手が無保険で思うように賠償をしてくれない場合、人身傷害保険はとても重要です。万一後遺障害を負ってしまったことを考えれば、自分自身のケガを補償する人身傷害も無制限補償を選択したほうが安心でしょう。

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