はじめに

責任のないもらい事故でも使える自分の保険

「信号待ちで停車中追突された」「青で発信したのに信号無視の車に衝突された」のような、自分側にまったく責任のない事故を「もらい事故」と呼ぶことがあります。このように、100%相手に責任がある事故の場合、一般的には車の損害も、ケガの治療も相手側が賠償することになり、自分の自動車保険は使わないのが通常です。ですが、車両の損害賠償の計算は、原則時価となるので、大きな損害を被った場合、代わりの車を購入するのに十分な金額を受取れることばかりではありません。

そのような時のために、代替自動車の購入費用を補償できる特約があります。車が新しい場合は、今の車の新車相当額を払う特約、初度登録から5年以上経っている車の場合、車両保険の倍額まで払うような特約です。いずれも車両保険に付帯する特約ですので、車両保険に加入していなければなりません。

損害保険料率算出機構「自動車保険の概況」によると、車両保険の加入率は46.6%です。自動車保険の対人・対物補償を付けているひとが約75%と考えると、車両保険の加入率はかなり低いことがわかります。たしかに車両保険は高いイメージがありますが、賠償してもらっても、代わりの車の購入に自己負担が発生する事態を避けるためにも、ぜひ車両保険の加入をおすすめします。

通常自分の保険を使うと、自動車保険の割引等級が下がってしまうリスクがありますが、「もらい事故」の場合、「無過失事故」という特則が保険会社各社にあり、事故の扱いがノーカウントとなり、等級が下がらない仕組みがありますから、次年度の保険料が上がる心配もありません。

自動車事故は万一にしか起きませんが、どんなに安全運転していても起きてしまうこともあります。相手への賠償はもちろんですが、自分の補償もよく考え、万一の時経済的負担を少しでも軽くする補償内容にするよう検討しましょう。

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