はじめに

必要なのは自分自身のリスクへの備え

独身の場合、何かあった時にすべてを自分で対処しなくてはなりません。そのため、必要なのは、誰かにお金を残すための保険ではなく、自分自身のリスクに備えるための保険です。そして、リスクには優先順位をつける必要があります。起こりうるリスクと、どのような備えで対応できるのかを知ることで、ご自身にとっての優先順位が見えてきます。

そもそも保険は、公的な保障や貯蓄でカバーできないリスクに備えるためのものです。そして、働き方によって受けられる公的保障は異なります。貯蓄の多寡によっても保険の必要性は変わります。

ご自身の受けられる公的保障や貯蓄を確認した上で、さらに保険で備える必要があるかを考えましょう。

働けなくなることが一番のリスク

一番困るのは働けなくなることです。病気やケガで長期間仕事を休むことになると、収入が途絶えてしまいます。経済的に頼れるご家族がいない場合は、生活費を自分で工面しなくてはなりません。その際の生活保障を考えておくことが最重要です。

働けなくなった時の公的保障

公的医療保険には、会社員や公務員などとその扶養家族が加入する健康保険と、フリーランスや自営業者が加入する国民健康保険があります。

病気やケガで働けなくなった場合に、健康保険に加入している方は「傷病手当金」を受け取ることができます。連続して3日間連続して欠勤すると、4日目以降、標準報酬月額の3分の2が通算して1年6カ月支給されます。賞与を除く毎月のお給料の3分の2程度とイメージしていただければ分かりやすいかと思います。ただし、それ以上の休養が必要な場合には介護認定等されない場合、手当はなくなってしまいますので、どのように補填するかを元気なうちに考えておく必要があります。

またフリーランスや自営業者が加入する国民健康保険には「傷病手当金」の制度自体がありません。そのため会社員や公務員よりも、生活保障の必要性があること押さえておいてくださいね。

公的保障でカバーできない部分に備えるなら

公的保障でカバーできないリスクに備えるなら、「就業不能保険」や「所得補償保険」に入ることも選択肢の一つです。どちらも病気やケガなどで一定期間働けなくなったとき、毎月給付金を受け取ることができる保険です。

就業不能保険は、保険期間が60歳までや65歳までと長期間です。保険料は所得補償保険より少し高くなりますが、就業不能状態が続く限り、保険期間の間ずっと保険金を受け取ることができます。給付金の月額は、10万円から50万円までが一般的ですが、申し込み時の収入によって上限が設定されます。注意点としては、30日・60日・180日といった支払対象外期間が設定されているため、働けなくなったときにすぐに給付金を受け取ることができません。

所得補償保険の保険期間は主に1年、最大で2年と短い期間になっています。保険金額には上限があり、加入直前の1年間の収入を平均した金額の50%から70%程度です。支払対象外期間は7日など短く設定されているため、保険金がすぐに支払われます。

働けなくなった時の備えをどれくらいの期間準備したいか、働けなくなった時にどれくらい早く給付を受け始めたいかが保険を選ぶ目安となります。保険金がすぐに支払われるという点で、傷病手当金のない国民健康保険加入者には所得補償保険が、会社員や公務員で傷病手当金は受け取れるものの、それだけでは不安な方には就業不能保険が向いているといえます。

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