はじめに
分配金の根拠は不透明
ここが実はブラックボックスで、何を根拠にしてこの分配金額になるのかが、受益者としても今ひとつよく分からないのが現実です。
たとえば、これは外国株式に投資する投資信託の決算日における分配原資の内訳ですが、
【2023年12月8日~2024年3月7日】
当期分配金:1200円(当期の収益:768円、当期の収益以外:431円)
【2024年3月8日~2024年6月7日】
当期分配金:950円(当期の収益:950円、当期の収益以外:-円)
当期分配金:1200円(当期の収益:768円、当期の収益以外:431円)
【2024年3月8日~2024年6月7日】
当期分配金:950円(当期の収益:950円、当期の収益以外:-円)
とあります。
今期の分配金が950円で、前期の1200円に比べて減額されていますが、前期は768円の当期の収益に加え、当期の収益以外が431円も計上されています。ちなみに「当期の収益」は運用によって得られた収益であり、「当期の収益以外」は前述した内部留保に該当します。
上記の数字を眺めていると、なぜ今期は内部留保を使わず、前期は431円も取り崩したのか、という疑問が浮かんできます。
しかし、その理由は運用報告書にも記載されていません。なぜその分配金額になったのかについては、よく分からないままなのです。
つまり分配金は、なぜその額になったのかの根拠が、やや不透明なのです。上記の事例で言うと、「当期の収益」は文字通り、当期の運用期間中に得られた組入有価証券の値上がり益や配当金、利金をベースにしているのは分かりますが、「当期の収益以外」から回した分が、なぜその金額になったのかの明確な説明がなされていないからです。