はじめに

「eMAXIS Slim 全世界株式(3資産均等型)」と「オルカン」で差が出た理由

ちなみにeMAXIS Slim 全世界株式(3資産均等型)は、ネットなどで話題となっているいわゆる「オール・カントリー(オルカン)」とは異なります。どちらもファンドの目的として、「日本を含む先進国および新興国の株式市場の値動きに連動する投資成果をめざします」としていますが、中身が違います。

まず、オール・カントリーの方は、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)をベンチマークとし、先進国23カ国、新興国24カ国に上場する株式に投資をしています。

組み入れされている国・地域を見るとアメリカが62.7%、日本が5.4%、イギリスが3.3%、以下カナダ、フランス、スイス、インドと続きます。組み入れ上位銘柄は、アップル、マイクロソフト、NVIDIA、Amazon、アルファベットと主にアメリカのおなじみの企業が並んでおり、組み入れ銘柄は全部で2,703銘柄です。(2024年7月31日現在の月次レポートより)

一方3地域均等型の方は、日本の株式についてはTOPIX、先進国株式についてはMSCIコクサイ・インデックス、新興国株式についてはMSCIエマージング・マーケット・インデックスをそれぞれベンチマークとし、1/3ずつ均等に投資をするファンドと説明されています。

組み入れされている国・地域を見ると、日本が33.4%、アメリカが24.3%、インドが6.4%、以下台湾、ケイマン諸島、韓国、中国と続きます。組み入れ上位銘柄は、台湾のセミコンダクターマニュファクチャリング(TSMC)がアップル、マイクロソフトを抑えて第1位、第4位がトヨタ自動車、そしてNDVIAと続き、組み入れ銘柄は全部で4,637銘柄です。やはり均等となっているので、アメリカの会社への投資比率がずいぶん少ないことが分ります。(2024年7月31日現在の月次レポートより)

信託報酬はいずれもコストを抑えたeMAXIS Slimシリーズなので0.05775%以内とされています。設定は3地域均等型が半年早い2018年4月です。設定来のファンドの騰落率を比較すると3地域均等型が101.2%(ベンチマークは109.2%)、オール・カントリーが150.3%(ベンチマークは149.2%)です。また直近1年を比較すると前者が21%で若干ベンチマークを下回り、後者が25.1%でこちらはベンチマークを上回っています。

純資産総額は、オール・カントリーが圧倒的に大きく38,374.63億で3地域均等型は169.68億円と前者の知名度の高さがよく分かる結果となっています。

今回ご紹介した過去の下げ幅でみると3地域均等型の方がオール・カントリーよりも優れていたと言えますが、恐らくそれは日本への投資比率が高く、アメリカへの投資比率が低かったことが寄与したのではないかと考えられます。

つまり、今後も世界中の株式に広く分散投資を行いたい方は、今まで通りのオール・カントリーで良いと思いますし、もしアメリカへの投資比率を下げて、日本と新興国の割合を上げたいという方は、3地域均等型を検討するということで良いのではないかと思います。

もちろんeMAXIS Slimシリーズのファンであれば、日本株式インデックス、新興国株式インデックスを追加することで投資対象の割合を調整することも可能です。

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