はじめに

8月は急激な円高・ドル安となりました。値動きを見てみると8月1日は149円36銭(終値)でしたが27日には143円95銭(終値)まで円高が進み、約1ヶ月で5円41銭ほど売られました。29日現在は144円98銭(終値)で推移しています。


円買いドル売りが優勢

米連邦準備理事会(FRB)の9月利下げが確実視されるなか、将来的な日米金利差の縮小を見込んだ円買いドル売りが優勢となっています。7月31日に行われた日銀金融決定会合で日銀は、政策金利を0.25%程度に引き上げる追加の利上げを発表しました。その発表自体はマーケットにおいて想定内だったと思われます。しかし会見で「経済・物価の情勢が見通しに沿って動いていけば、引き続き金利を上げていく考え」と発言した事などから日米金利差の縮小が本格化するであろうとの思惑で、円高・ドル安が続いています。7月31日(日銀金融決定会合の日)に1ドル=149円98銭と150円を割り込み、以降150円台を回復していません。

円相場は年明けには1ドル=140円台で取り引きされていました。その後、今年4月以降記録的な円安水準が続き4月29日に日銀の植田総裁が金融政策決定会合のあとに開かれた会見で、円安への対応について踏み込んだ発言をしなかったとの受け止めが広がり、1990年4月以来、34年ぶりに1ドル=160円台まで値下がりしました。その後財務省は4月下旬から5月下旬までの1か月間に、総額9兆7885億円を投じ市場介入を行いました。一旦は円高方向に振れたものの、再び値下がりの傾向が続きました。6月26日のニューヨーク市場で円相場は一時、1ドル=160円台後半と、1986年12月以来、およそ37年半ぶりの円安ドル高水準となりました。

為替に影響を受ける企業

政府が市場介入する理由は円安に傾きすぎると、石油や農産物など輸入品の価格が高騰し、家計や企業収益がひっ迫する為です。円高ドル安は、日本に多いとされる輸出企業に対してはマイナス、逆に輸入金額が大きい企業に対してはプラス要因です。比較的円高に強い企業も数多くあります。

例えば原材料や部品などを多く輸入している企業、輸入品を販売している企業です。家具・インテリア大手のニトリHD(9843)、作業着やアウトドアウェアの専門店・ワークマン(7564)、全国に業務スーパーを出店している神戸物産(3038)、衣類・生活雑貨・食品の無印良品を全世界に展開する良品計画(7453)などです。

逆に、円高は日本の輸出品が他国製品に比べて価格が高くなり輸出が不利になります。代表的な企業としてはトヨタ自動車(7203)です。トヨタの想定為替レートは1ドル=145円で、円安の場面では非常に優位な展開でした。昨年発表した2024年3月期の営業利益見通しは従来予想より50%増の4兆5000億円に引き上げました。円安進行時、輸出企業にもたらすプラス要因の成果です。しかし、現在の為替相場においてはマイナス水準となり、円高傾向の場面から株価が下落していっていると言えそうです。 任天堂(7974)、村田製作所(6981)、日立製作所(6501)、日本ガイシ(5333)なども想定為替レートは同じく145円です。

一方で昨今、個人投資家に人気の米国株ですが円高時は、米国株を購入するのに少ない円で購入できるのでチャンスかもしれません。

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