はじめに

追加型で実質的に無分配のファンド

また、これはNISAを用いて投資すれば解決する問題なので、ちょっとしたいちゃもんに近い話ですが、「分配金再投資が複利効果で投資効率を高める」という説明にも、いささか疑問を感じます。

NISAではなく課税口座で投資信託を保有している場合、決算日に支払われた分配金を再投資に回す際には、分配金に対して20.315%の税金がかかり、それを差し引いたうえで再投資に回されます。ということは、税金の分だけ投資効率が下がるとも言えます。

本当の複利効果は、一定期間中に生じた運用収益を、非課税のまま次の期間の運用に回すからこそ高まります。形式上、一旦キャッシュアウトさせてそこに課税し、残金で同一ファンドを買い付けるという分配金再投資は、確かに複利的な効果はあるものの、本当の意味での複利効果ではないという点も、頭の片隅に入れておくと良いでしょう。

もちろん投資信託のなかには、本当の意味での複利効果が期待できるファンドも、あります。それは分配金を一切支払わず、投資し続けるタイプのファンドです。

実は、追加型投資信託の分配金をいくらにするかは、投資信託会社が自由に決めることができます。なので、決算日時点で「このファンドは運用収益が得られていますが、運用会社の判断として、今期は分配金を支払わないことに決めました」ということにすれば、何のペナルティもなしで、実質的な無分配にできるのです。

しかも、その投資収益は、キャッシュアウトしない限り課税されないため、投資効率を高めることができます。たとえばここ直近で見ると、コモンズ投信の「コモンズ30ファンド」は3期にわたって分配金を0円にしていますし、SBIレオスひふみの「ひふみ投信」も、これまで分配金を出したことがありません。

過去の分配金実績を調べ、基準価額が上昇している間も分配金が0円になっているファンドは、運用効率をできるだけ高めるため、分配金を支払わないスタンスで運用しているものと考えられます。

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