はじめに

「配当利回り」は高ければいいのか?

配当利回りは高ければ高いほどいいのでしょうか。結論からいうと、配当利回りは高ければいいわけではありません。

例えば、次の2つの銘柄があるとしたら、みなさんはどちらが欲しいでしょうか。

・A株

株価:2000円
配当金:100円
配当利回り:5%

・B株

株価:1000円
配当金:30円
配当利回り:3%

A株の配当利回りは5%なのに対して、B株の配当利回りは3%です。よって、配当利回りで選ぶならA株がよさそうです。しかし、A株とB株の1か月前の株価は次のようになっていました。

・A株(1か月前)
株価:3000円 年間予想配当金:100円 配当利回り:3%

・B株(1か月前)
株価:600円 年間予想配当金:30円 配当利回り:5%

A株もB株も、配当金は先ほどと同じです。しかし、1か月前のA株の株価は3000円、B株の株価は600円でした。そのため、配当利回りはA株が3%、B株が5%となっています。配当利回りの計算式には「株価」が含まれています。そのため、株価が下がることでも配当利回りは下がります。

B株が値上がりしていることを考えると、A株が値下がりした理由は、市場全体が暴落したからではなく、A株の業績がよくなかったり、不祥事があったりして不人気銘柄になってしまったからかもしれません。業績不調が続けば、減配になる可能性も高まります。減配になれば株価下落に拍車がかかります。

配当利回りだけを見て飛びついてしまうと資産を減らす可能性が高くなります。業績は好調なのか、財務は健全なのかの確認は必須です。

「配当性向」も合わせて押さえよう

配当株投資をするにあたり重要な指標のひとつに「配当性向」というものがあります。配当性向とは、当期純利益のうち、どれだけを配当金の支払いに向けたかを示す指標です。

配当性向が高ければ、株主に対して多くの利益を還元していることになります。しかし、だからといって配当性向が高いほど良いのかというとそういうわけではありません。利益は、設備や研究開発などに投資することで、企業の成長を促します。そのため、配当性向を高くしていても、研究開発や人材確保にコストをかけられず、事業拡大の好機を逃している可能性もあります。

逆に、配当性向が低いからといって、株主還元意識が低いとは限りません。企業が成長するには投資が必要であり、事業拡大のために投資を行えば、配当性向は低くなります。つまり、配当性向が低い企業は今後成長の余地があり、将来的に利益が増えれば増配にも期待できるわけです。また、配当性向が高ければ、配当金も高くなるというわけでもありません。

たとえば、発行株数が同じC 社とD 社があったとします。C社は配当性向が30%で純利益が4000万円。D社は配当性向が50%で純利益が2000万円の場合、C社の配当金支払総額は1200万円ですが、D社の配当金支払総額は1000万円になります。

発行株数が同じなので、同じ株数を持っていた場合、配当性向が低くてもC社のほうがもらえる配当金は大きくなります。このように、配当性向はあくまで純利益のうちどれくらいを配当金として配っているのかの目安です。

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