はじめに

優良の「高配当株」「増配株」をサクッと選ぶ3つのポイント

日本の株式市場には約4000社が上場しています。その中から、配当利回りが高く、安定した配当を"継続的"に出せる優良な「高配当株」「増配株」を選びたいのですが、時間をかけたくない方は次の3つのチェックポイントで銘柄を絞っていくのがおすすめです。

①配当利回りは「2%以上」で検索

証券会社のスクリーニングや投資情報サイトの配当利回りランキングを利用すれば、配当利回りが3%以上の銘柄をすぐに見つけられます。

しかし、「3%以上」を条件に検索すると、3%に近い"優良"の銘柄が見つけられなくなってしまいます。人気が集まり、株価が高くなると配当利回りが低くなる仕組みですから、検索タイミングによっては、優良銘柄を見逃すことになります。

そこで「2%以上」で検索し、そのなかから優良銘柄を探しましょう。上述のとおり配当利回りだけで選ぶと不人気銘柄を選んでしまうかもしれません。配当利回りはあくまで最初のフィルターとして使い、他のポイントを確認します。

②「連続増配」「非減配」で抽出

「利益剰余金」から配当金が支払われることもあるので、必ずしも増配しているから業績が良いということではありません。しかし、少なくとも毎年増配している銘柄は、企業の業績が右肩上がりで成長している可能性が高いといえます。

また、増配はしていなくても減配していないかどうかも重要です。長期的に減配せず増配や配当金を維持する銘柄を「累進配当銘柄」といいます。たとえば、日清紡ホールディングス(3105)は40年以上累進配当を続けており、配当利回りも3%以上なので高配当狙いの投資対象として候補になります。

最近では累進配当を表明する企業もあります。数年先まで受け取れる最低限の配当金を予想することができるので、安心感があります。累進配当の継続は企業サイトの「株主・投資家向け情報」や「中期経営計画」などで表明されていることが多いので、気になる企業があった場合はチェックしておくといいでしょう。

③配当性向は30〜50%が目安

配当性向は業界によって平均値に差がありますが、長期的に、値上がり益を狙いつつ、配当金を得る投資戦略であるならば、30~50%くらいを目安にしておくとよいでしょう。

なお、配当性向が100%を超えている場合は要注意です。配当性向の計算式は「配当金総額÷当期純利益×100(%)」ですから、100%を超えるということは、当期純利益を超えて配当金を出しているからです。

高配当株、増配株、非減配株にはよくあることですが、その年の利益が少なくなった場合や損失になった場合でも、過去の利益を会社内で積み立てた「利益剰余金」から配当金が支払われることもあります。

なぜ、そうまでして企業は配当金を支払うかというと、配当株投資をする投資家の多くが、減配(配当金が減る)や無配(配当金がない)になると一気に株を売却する傾向にあるためです。つまり、株価急落を防ぐために支払うのです。

下図は、日本株の主な連続増配銘柄をまとめたものです。

(株)Money&You作成

上記3つのポイントでスクリーニングすると、三菱HCキャピタル(8593)、KDDI(9433)、サンドラッグ(9989)あたりは投資候補になってきそうです。

花王(4452)は、34年連続増配と日本株ナンバーワンの増配実績ですが、直近4期連続で営業減益が続いています。その結果が配当性向158.9%となっていて、このまま業績低迷が続くと、増配が止まる可能性もありそうです。

日本株約4000社全ての業績や財務の健全性を確認するには、いくら時間があっても足りません。ある程度銘柄を絞ってから、詳細に業績や財務の健全性のチェックを行い、最終的な投資決定に進めていくのが良いでしょう。

高配当株、連続増配株、累進配当株は、暴落中や下落相場でも、安定的に配当金を出す(増配・維持)傾向があるので、値下がり局面になると投資家からの需要が大きくなります。相場全体の下落に強く、また下落から一足早く抜け出す傾向にあります。暴落中や下落相場においても、定期的に配当金をもらうことができれば、回復を待ちやすいですよね。

値下がり耐性を高める目的や、下落相場中のメンタルケアの観点でも、高配当株や増配株をポートフォリオの一部に組み込んでいくのは面白いと思います。

※本記事で紹介した個別銘柄については、あくまでも参考として申し述べたものです。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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