はじめに

扶養のままでいることは本当にいいのか

では第3号被保険者については、なぜ手取りの減少という明らかなマイナスを承知で適用拡大を行うのでしょうか? もちろん手取りの減少を収入の増加が上回れば、解消されることではありますが多くの方が、これまでと同様の働き方で手取りが減ってしまうことをネガティブ要件と考えています。

国としては、「被扶養者」は養われているのだから、万が一病気になって収入が減っても生活に困ることはないよね、老後も厚生年金の上乗せ分がなくても、養われているのだから問題ないよね、と考えているのではないでしょうか?

新聞報道などでは、今回の適用拡大で厚生年金に加入できるだけ働いていた人が、あえて働く時間を減らし扶養のままでいることを選んでいるケースもあるとしています。しかし筆者は本当にそれで良いのかと2つの疑問を感じることがあります。

まず、「安い労働力」に対する疑問です。雇い主としても、会社負担が増える適用拡大を嫌うところもあるでしょう。すると同じ賃金で社会保険料負担がない扶養のままで働く人は「安い労働力」として都合良く扱われているのではないかという疑問です。

もうひとつは、経済的リスクの備えに対する疑問です。配偶者が仕事を失ったり、病気になったり、あるいは亡くなったりした場合の備えとしては、自身の社会保険加入はひとつの選択肢となり得るでしょう。

適用拡大は、第1号被保険者の方であれば、手取り増を運用するなどさらに増やす計画を、第3号被保険者の方であれば、長期的な視野でご自身の生き方を考えるきっかけにされると良いのではと思います。そして働くすべての方がご自身の労働に対し正当な報酬を受け、それによりさらに豊かな暮らしを手に入れることが理想ではないかと考えます。

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