はじめに

60歳代、年金はいくらもらっている?

働く60代女性の収入を見てきましたが、年金収入の場合はどうでしょうか。厚生労働省「2022年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、女性の年金受取額の平均は、厚生年金で104,878円、国民年金で54,426円です。それぞれの、年齢別の平均受取り額を見てみましょう。

<厚生年金(国民年金額含む)の平均年金月額(円)>

画像:厚生労働省「2022年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より筆者作成

年金は、受け取り方によって金額が変わります。老齢年金は本来65歳から受け取れますが、繰上げて受け取ると少なくなります。そのため、65歳以上より、60・61歳が少なくなっています。

62・63歳がさらに少ないのは、特別支給の老齢厚生年金として、報酬比例部分のみを受け取っているからです。これは、1985年の法律改正により、厚生年金保険の受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられたことに伴う制度によるものです。

この点は、これから年金を受け取る人にとっては考慮にいれなくてもよいことです。65歳からの受給であれば減額されない、と覚えておくといいでしょう。

また、厚生年金は、現役時代の給料によって受取り金額が変わります。大まかにいって、給料が高額だと年金保険料が高額になり、結果として年金も高額です。女性の給料は男性よりも低くなりがちですから、年金も同様に女性のほうが少ない傾向です。

一方、国民年金は受取額に男女差はほぼありません。

<国民年金の平均年金月額(円)>

画像:厚生労働省「2022年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より筆者作成

本来の年金受給年齢である65歳を境に、受取金額に大きな違いがあることにも注意してください。年金は60歳から受け取る、繰り上げ受給もできますが、1カ月ごとに0.4%減額され、その金額は生涯変わりません。逆に、65歳以降は最大75歳まで繰り下げることができ、1カ月ごとに0.7%増額し、その金額は生涯変わりません。

年金の試算は早めにしておき、退職後のマネープランを何通りか考えておくと安心です。たとえば、次のようなケースが考えられます。

・年金と再雇用の収入で一人暮らしを続ける
・年金と貯蓄の取り崩しで一人暮らしを続ける
・親の介護などで実家の近くに引っ越す

都内のワンルームマンションに住むなら、家賃だけで6万円程度はかかります。一般的な賃貸住宅での一人暮らしは、年金収入だけでは難しいのが現実。無理のない副業をする、掘り出し物の物件を探すなど、行動をおこすのもいいですが、まずは年金の試算をし、家計の見直しから始めましょう。

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