はじめに

投資でインフレリスク対策を

Aさんのように、今回の株価暴落をきっかけに、投資を始めることに躊躇している方も多いと思います。確かに預貯金とは違い投資には元本保証がありませんが、インフレに合わせて値上がりする可能性があるため、インフレリスク対策に有効な方法といえます。それでも怖いという方のために投資のリスクを少しでも抑える方法をこれからご紹介します。

長期積立分散を意識した投資で、リスクを最小限に

投資のリスクを減らすポイントは、「長期・積立・分散」を組み合わせることです。

長期間投資をすることで、複利の効果を活かすことができます。運用で得た利益を元本に加えて次の投資をすることで、投資の利益が投資に回り、さらに利益を生む効果があります。雪だるまを小さな雪玉から作るイメージを想像すると、分かりやすいのではないでしょうか。

一定金額を一定期間ごとに投資する「ドル・コスト平均法」を用いると、毎回の投資金額は定額なので、価格が低い時には投資商品の購入量が多くなり、価格が高い時には購入量が少なくなります。長い期間をかけて積立投資することで購入単価を平均化でき、価格変動のリスクを抑えられます。

さらに、1つの投資商品にだけ投資した場合、その商品の値動きの影響を大きく受けてしまうため、暴落すると資産が急激に減ってしまいます。いくつかの商品に投資しておくことで、1つの商品が暴落したとしても、他の商品の価格が上昇していれば、資産の減少を抑えることができます。

無理なく「長期・積立・分散」を組み合わせることができるのが、NISAのつみたて投資枠での投資です。つみたて投資枠では金融庁が定める基準を満たした長期・積立・分散に適した投資商品のみが購入できるので、投資初心者の方も始めやすいのではないでしょうか。

現役で仕事があるうちに投資を始める

「投資は怖いと感じていましたが、インフレも怖いとは考えていませんでした」、というAさん。預貯金だけで資産を形成するのもリスクだということに気づき、思い切って投資を始めることになりました。

Aさんは60歳まで働く予定のため、働いている間に約15年間の投資期間があります。現在月々の収入から約10万円を貯金しているAさんは、インフレと投資の両方のリスクを考慮し、NISAのつみたて投資枠で月4万円の積み立てを始めることにしました。15年間利率5%で運用できると仮定すると、試算の結果は84歳で-87万円、積み立てを行うことで4年間の老後資金を確保できる結果となりましたが、さらに準備する必要があります。

そのことを理解した上で、投資初心者で、投資に躊躇する気持ちがあったAさんに精神的な負担がかからないよう、まずは一年間毎月4万円を積み立てることから始め、一年後に増額を考えることになりました。

また、Aさんの勤務先では、希望すれば65歳まで現役を続行し、定年退職金を受け取る勤務形態を選ぶこともできます。その場合、月4万円の積み立てでも90歳の段階で資金不足に陥ることなく、老後を安心して過ごすことができそうです。

Aさんのように、インフレが老後の生活費に影響を与える可能性があることを理解し、現役時代でしっかり収入があるうちに投資という対策を取れるかどうかが重要です。なるべく早い段階で投資を始めることで、月々の積立金額や、将来の働き方の選択肢を増やすことができます。何より希望する生活がインフレに負けることなく叶えられる安心感は、投資のリスクと向き合うことより価値があると思うのですが、いかがでしょうか。

リスクを取らないことがリスク

前述した通り、国の方針としてインフレを推進している日本だからこそ、貯金だけではお金の価値が目減りする可能性があります。投資は怖いものと思い込んで、リスクを取らないこと自体がリスクであることに気付いていただければ嬉しいです。

目先の値動きより、長期的な視点でインフレリスクに備えることが重要です。その結果、インフレに負けることなく、希望する未来を手に入れることができるのではないでしょうか。

【監修】伊達有希子/ファイナンシャルプランナー(CFP、1級FP技能士)

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