はじめに

今月11日、PayPayアセットマネジメントが突然業務終了のお知らせを発表しました。NISAのつみたて投資枠でも購入できる投資信託の運用を手がけていた運用会社が業務を終えると個人投資家はどのような不利益を被るのでしょうか?


PayPayアセットマネジメントが2025年に業務を終了

2024年10月11日、LINEヤフー傘下のPayPayアセットマネジメントが2025年9月末をめどに業務を終了する旨発表がありました。報道によると運用資産の拡大が計画通りに進まず24年3月期まで5期連続で赤字が続いたため、持続的なサービス提供が難しくなったからとしています。

PayPayアセットマネジメントという会社は、投資信託の運用を行う会社です。特に個人投資家がここに直接口座を開設することはないので、ご存じない方も多いかも知れませんが、ここが運用する投資信託はNISAでも投資が可能なので、運用会社名までは知らなかったが、実は投資をしていたという方もいるかも知れません。

実際運用していた投資信託は全部で12本です。うち2本は、募集期間が限定されているソフトバンクグループ&日本企業厳選債券ファンドなので、今後の扱いが注目されるのは10本といえます。PayPay銀行やPayPay証券だけで取り扱われているものから、中にはSBI証券や楽天証券といったネット証券、あるいは地方銀行などで取り扱われているものもあります。

筆者は、PayPayアセットマネジメントの投資信託を扱っているネット証券あるいは地方銀行のホームページを複数確認してみましたが、運用会社の業務終了あるいはそのファンドの今後の取り扱いについて告知をしているところは10月20日時点ではPayPay証券しかありませんでした。

もしかしたら、該当する投資信託を購入している投資家に対して個別にお知らせが届けられているのかも知れませんが、恐らくそれさえもよほど注意を払っていない限りは、このような事情に気が付かない方が多いのではないでしょうか?

そこには、「お客様の資産(投資信託の信託財産)については、受託者である信託銀行で分別管理され、財産は適切に保全されておりますので、PayPayアセットマネジメント株式会社の事業終了・会社清算により、その財産が影響を受けることはありません。また、PayPayアセットマネジメント株式会社の事業終了について、弊社(PayPay証券)にとっての財務上の影響やビジネス戦略上の影響はなく、今後も従来どおり事業/サービスを継続してまいります」と書かれています。

ペイオフとはどう違う?「分別管理」

一般常識として私たちが知っておくべきこととしては、この「分別管理」という言葉です。これは投資信託の信託財産、つまり投資家のお金は、資金を預かる信託銀行で分別管理され適切に保全されているという意味です。分別というのは、自社の金庫に投資家のお金は入れない、別々に管理が行われているということです。

例えば、銀行にはペイオフ制度があります。これは預金保険制度と呼ばれるもので、銀行が万が一倒産しても一定の資金は保護される仕組みです。

具体的には、当座預金や利息の付かない決済用預金は、全額保護。また定期預金や利息の付く普通預金等(一般預金等)は、預金者1人当たり、1金融機関ごとに合算され、元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。それを超える部分は、破綻した金融機関の残余財産の状況に応じて支払われるため、一部支払われない可能性があります。

一方証券会社は預金保険制度の対象ではありません。その代わり、金融商品取引法で、投資家から預かったお金、例えば株を買うお金、投資信託を買うお金などは、証券会社自身の資産とは分別管理するように義務づけられているのです。

またその中でも投資信託は、販売をする証券会社、運用を行う運用会社、資金を管理する信託銀行と3つの機関が関係していますが、投資家のお金はすべて信託銀行で分別管理されているので、仮に運用会社が破綻(今回は事業の終了ですが)しても問題ないと説明しているのです。

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