はじめに
築年数料率改定で安くなった保険料例
今回の改定で保険料が安くなった1例を紹介しましょう。
今まで住宅金融公庫の特約火災保険に加入されていたAさん。2024年12月1日に特約火災保険が満了になるので、満期以降の火災保険を考えなければ、と火災保険の見積りを2024年9月に依頼されました(融資はすでに完済しています)。Aさんの自宅は、1997年11月新築。2024年9月現在築26年の木造2階建て住宅です。
今まで建物のみの火災保険だったので、地震保険も付帯し、フルカバーの火災保険に加入の意向です。
2024年10月から保険料率アップになる改定があるので、9月中に前倒しで火災保険に加入してしまった方が保険料を抑えられるのではと考え、本来の満了日12月1日始期と改定前の9月1日始期の5年長期契約で比較してみました。
画像:筆者作成
11月に大幅な料率改定があるので、9月に前倒しの契約をした方が断然お得と思っていましたが、家財保険料は若干高くなったものの、改定後の12月からの保険料の方が安くなりました。年間12,320円、5年で61,600円と見過ごせない額です。
なぜこのような結果になったかというと、築年数別料率の改定が大きくかかわっています。
Aさんのお住まいは12月1日現在築27年。改定前の築年数別料率は25年以上ですと、25年でも49年でも同じ料率です。ところが、改定後の場合25年から49年まで1年ごとに緩やかに保険料率が上がっていく仕組みですから、25年に近い料率は今までより安くなったというわけです。反対に築49年に近くなってくると今までより高くなってしまうと考えられます。
また、Aさんの場合、新築の月が11月です。12月1日時点では築27年ですが、10月1日始期で計算をすると、築26年の築年数別料率になりますから、若干ですがさらに安くなります。
結果Aさんは、10月1日始期で新しく火災保険に加入されることになりました。12月1日始期で加入するより、年間1,030円、5年で5,150円安くすることができました。
満期前でも見直しの見積りは有効
前項の例はほんの1例ですが、火災保険の見直しは節約に一役買うかもしれません。見積を取ってみる価値はあるでしょう。
特に、築年数が25年から35年程度の住宅、自宅の水災リスクが少ないと思われる方は見直しの効果があるかもしれません。
水災リスクに関しては洪水ハザードマップなどを参考にするのもひとつの方法ですが、保険会社が考える水災は河川の氾濫による洪水だけでありません。集中豪雨などで下水道の処理が追いつかず、水があふれてしまう内水氾濫や、土砂災害なども含めて考えられており、リスク区分がハザードマップと一致しないこともあります。損害保険を担当している代理店などに見積りをお願いしてみるといいでしょう。