はじめに
1. 退職金をNISAで運用するケース
では、一つ目のケースから詳しく見ていきましょう。
ここでのポイントは退職金を一気に投資せず月20万円ずつNISAで積立をします。これにより時間分散を図ります。多くの方が実感している通り、市場の動きは平坦ではありません。ときに大きく上下することもあり、投資のベストタイミングを計ることは誰にもできません。
そのため、まとまった資金である退職金であっても、小分けで投資をするのがベターです。20万円の積立を5年間継続することにより投資元本は1200万円、そこで積立を終了します。
運用利回り5%で仮定すると、5年間の積立期間で資産は1,360万円となります。1,200万円の元本に対し160万円ほどの利益です。NISAであればこの利益から税金が引かれないので大きなメリットとなります。
今回は積立だけで終わらず、そのまま10年運用のみを継続させます。この間も同様に運用利回り5%を得ることができれば75歳時点での資産は2,000万円以上に膨らみます。75歳以降この資産を取り崩します。
75歳時点でNISAの資金を全額売却して0%金利の預金などにおいて毎月少しずつ引出をすると91歳8ヶ月で資金が尽きてしまいます。しかし、NISAで資金を運用しながら少しずつ売却して取り崩すと5%運用であれば110歳まで資金が枯渇することはありません。
このように「積立期」のあとで一定期間「運用期」をもうけ、さらに運用しながら少しずつ解約していく「取崩期」の三段活用を実行することで資産寿命を延ばすことが可能です。