はじめに

3. 70歳までの就労を見込みながら、月々5万円の積立を行うケース

三つ目のパターンを見ていきます。

iDeCoは65歳まで月23,000円を積立、NISAには、65歳まで月27,000万円を積立て、それ以降5年間はiDeCoが終了した分をNISAにまわし5万円を積立てます。

前述の解説の通りiDeCoを積立かつ運用を継続すると75歳時点で254万円の資金となります。NISAは途中で積立を増額しかつ75歳まで運用を継続すると733万円ほどになります。合計1000万円近い資金を60歳から創ることが可能です。なお、NISAの投資商品を解約して引き出すとき、利益に対して税金はかかりませんし、引き出す資金は収入として課税されることもなく、社会保険料の算定にも該当しません。

公的年金は65歳から受け取り、生活に不足する分はできるだけ長く働くことでカバーし、75歳からは資金の取崩を開始するシナリオであれば、75歳で運用を終了し0%金利の預金で取崩を開始したとしても月3万円の取崩を100歳まで継続できます。

iDeCoとNISAでの運用は投資信託を利用します。日本と外国の株式と債券それぞれ4分の1ずつ均等に投資をしている年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用実績が年率4.26%ですから5%運用を期待した場合、もう少し株式への投資配分を高める必要はあるでしょう。

60歳からでも資産形成はできる

確かに60歳という年齢は、多くの会社が「定年」と定めていることもあってか、これからの資産作りは無理だとあきらめムードの方も少なくありません。

しかしながら、60歳からでも「積立」「運用」「取崩」とお金の三段活用を実行する期間を設けることにより、資産形成は充分可能であると筆者は考えます。

机上の空論と一笑に付すのもみなさん次第です。しかし、「老後の資産作りのためになにか始めなければ」と思っている方がiDeCoやNISA、投資信託もしっかり理解した上で行動を起こしていただけましたら幸いです。

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監修:山中 伸枝
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