はじめに

「インデックスファンドなら、どの運用会社のファンドを買っても大差はない」と思っている方は多いと思います。でも、決してそんなことはありません。インデックスファンドでも、運用会社を選ぶことは大切です。その理由をご説明しましょう。


100%連動するわけではない

まず運用成績について考えてみたいと思います。

インデックスファンドは、日経平均株価やTOPIX、あるいはS&P500といったインデックスに対して高い連動を目指し、運用する投資信託のことです。そのため、連動させる指標が同じなら、運用会社が違ったとしても、運用成績に差は生じないと言われています。

運用成績は高いに越したことはありません。が、インデックスファンドの場合、アクティブファンドとはかなり事情が違います。

アクティブファンドであれば、運用哲学や、それに基づいて選別した投資先企業の違いによって運用成績には差が生じますし、運用哲学の正しさを証明するうえで、運用成績は重要な意味を持ちます。

つまり運用成績は、アクティブファンドの良し悪しを判断するうえで、重要なファクターになり得るわけですが、インデックスファンドの運用哲学は、運用会社が違ったとしても同じです。それは、「連動目標とするインデックスに対して、運用成績を限りなく近づけること」です。

こうしてインデックスファンドを運用する運用会社は、連動目標とする指標に対して、運用成績を限りなく近づけるための努力をするわけですが、いくつかの事情があり、必ず100%連動するとは限りません。インデックスファンドで運用する人は、この点に留意しておく必要があります。

インデックスファンドでもコストはかかる

なぜ100%連動しないのでしょうか。

まずコストの問題です。「インデックスファンドは運用の手間暇がかからないからコストがかからない」などと言われますが、コストゼロというわけにはいきません。インデックスファンドにも運用者はいますし、資金の流出入に応じて組入銘柄を売買する際の手数料もかかります。海外のインデックスに連動するタイプなら、組入有価証券等を海外に保管するための保管料、さらに連動目標となるインデックスを算出しているインデックスハウスに対して支払うライセンス・フィーもかかります。

次に、コストと関わってくる問題ですが、インデックスファンドは常時、連動目標となるインデックスの採用銘柄と同一のポートフォリオで運用されるわけではありません。全銘柄を購入するには相応の資金が必要であり、かつ売買頻度が多くなることから、結果的に運用コストが高くなってしまいます。

そのため、少ない銘柄数で連動目標となるインデックスとほぼ同じ動きをするポートフォリオのモデルを組んで運用するのが一般的です。このモデルの出来、不出来によって、インデックスファンドといえども、リターンに差が生じてくるのです。

つまり、同一のインデックスに連動することを目指しているインデックスファンドでも、運用会社が違えば、リターンに差が生じることもある、ということです。

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