はじめに
トータルではプラスの見込み、今後の動きに注目
あまりにわかりにくい仕組みに、すでに住宅ローン減税を利用されている方やこれから住宅取得を検討されている方の中には不安を感じられる方もいらっしゃることと思います。しかし、あまり不安に思われる必要はないと思われます。なぜなら、もし基礎控除が引き上げられたら、前述のとおり税金額が減り、手取り給与が増えるためです。
なお、「どの程度手取り給与が増えるのか?」といえば、試算ではAさんの場合で年間18万円、Bさんの場合は年間15万円、Cさんの場合は年間13万円でした。もしいずれも住宅ローン減税を上限まで利用していると仮定すると住宅ローン減税の減税額のマイナスは10万円~5万円程度になることが考えられますが、手取り増によりカバーすることは可能だと思われます。
とはいえ住宅ローン減税によるインパクトは小さくなることが見込まれます。これから住宅取得を検討される方は、住宅ローン減税はあくまでおまけであると考えて住宅取得計画を立てることを心がけましょう。
個人的には基礎控除引き上げを機に、高所得者有利の経済構造がすすむのでは、といったことを気がかりに思っています。所得の高い方は節税効果が高まる上、もともと納税額が多いため住宅ローン減税への影響の可能性が小さい一方、所得の低い方ほど所得税がゼロに近づき、結果的に住宅ローン減税による減税額の上限が下がることが見込まれるためです。今後の動向に注目していきましょう。