はじめに
2024年12月最終営業日で旧一般NISAの非課税保有期間満了という案内を証券会社や銀行から受け取ってはいるものの、どうすればいいのか迷われている方もいるのではないでしょうか。該当するのは2020年に一般NISAで買い付けをした金融商品です。非課税期間5年というのは意外と短いものですね。今回は旧NISAの非課税保有期間満了を迎えるにあたって、2つの選択肢とその注意点についてFPが解説します。
2024年、旧NISAから新NISAへ。変更点をおさらい
2014年1月に一般NISA、2018年1月につみたてNISAがスタートしました。そして、2024年1月からは制度がリニューアルされ新NISAとなり、現在に至ります。下の図表が旧NISAと新NISAの制度概要です。
筆者作成
筆者作成
旧NISAから新NISAに制度変更されたタイミングで、非課税保有期間が無期限となりました。そして、旧NISAでは一般NISAとつみたてNISAの併用はできませんでしたが、新NISAでは成長投資枠と積立投資枠の併用が可能になりました。さらに、年間投資枠が最大360万円と拡大され、旧NISAではできなかった非課税保有限度額の再利用が新NISAではできるようになりました。
旧NISAでの非課税期間満了後はどうなる?
次に、旧NISAで非課税保有期間が満了を迎える投資信託等はどのような取扱いになるのか確認していきましょう。
旧NISAの一般NISAは、非課税保有期間は5年です。2024年の新NISAが始まるまでは非課税保有期間が終了すると、「売却する」「翌年の非課税投資枠にロールオーバーする」「課税口座に移管する」の3つの選択が可能でした。
ロールオーバーとは、NISAの非課税保有期間が終了したときに、保有している投資信託等を翌年の非課税投資枠に移管することです。また、課税口座とは、運用益に税金が発生する口座のことで、利益に対して約20%の税金がかかります。
課税口座には、特定口座と一般口座がありますが、一般口座は1年間の損益を自分で計算し、確定申告する必要があるため特定口座を選択するのが無難でしょう。特定口座であれば1年間の損益を金融機関が計算し、利益が出ても税金が自動的に引かれるようにしておけば、確定申告も不要になります。
ただし、問題は旧NISAと新NISAはあくまでも別の制度ということ。旧NISAで管理している投資信託等は非課税保有期間が終了するまで保有することは可能です。しかし、新NISAでは非課税保有期間が無期限になったことで、旧NISAのようにロールオーバーという考え方がありません。そのため旧NISAで保有する投資信託等を新NISAにロールオーバーすることはできなくなりました。つまり、2024年以降は、旧NISAで管理する商品が非課税保有期間を終了するときには、「売却する」「課税口座に移管する」のどちらかの選択をすることになります。2020年に買った金融商品はこの2択になりますので、ご注意ください。