はじめに

情報リテラシーの大切さ

情報の発信元が複雑化し、なおかつ拡散スピードがはやい社会において、投資家にとってもっとも重要なスキルは、「正確な情報」を入手し、それを冷静に分析する能力かもしれません。

そのためには、

1. 一次情報を確認する
企業のIR(投資家向け情報)やプレスリリースを確認する
2. 複数の情報源を比較
ひとつのニュースソースだけに頼らず、複数の信頼できる情報源をチェックする
3. SNS情報に注意
SNSは情報が早い一方で、誤情報も多く含まれため、かならず情報元を確認する。

この3点をつねに意識しておきましょう。

基本的には株価は業績に連動する

株価は、短期的にはこういった雑音にふりまわされますが、長期的には業績に連動します。この基本を抑えていれば、突発的な報道で、無駄に飛びついたり、売らなくていいのに売ったりといった、コスパの悪い投資行動は避けられます。

画像:KADOKAWA「2024年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)

KADOKAWAの業績を見てみると、前期2024年3月期は、①営業利益18,454(百万円)で、②前期25,931(百万円)と比べて、③-28.8%の減益着地です。

画像:KADOKAWA「2024年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)

さらに今期2025年3月期も、①16,500(百万円)で②前年比-10.6%の減益予想です。

もともと見通しは明るくありませんでしたが、この後、8月14日には、営業利益を15,600(百万円)に下方修正しているため、前年度からの減益幅は当初より広がっています。下方修正の要因は、大規模サイバー攻撃による影響で、今後、さらに広がる懸念もくすぶります。

こういった業績予想の中での買収報道は、すでに保有していた人にとっては、売り逃げるチャンスになりましたが、飛びついて買う材料ではありません。うっかり飛びつきそうになった場合も、業績を確認すれば、いったん様子見といった慎重な行動が取れると思います。

あらためて、12月19日にKADOKAWAが出したお知らせを見ると、ソニーグループとは、資本業務提携を行い、第三者割当てで新株発行を行うとあります。新株発行のため、一株益の希薄化懸念で売り注文が殺到し、ストップ安まで売り込まれましたが、実際にはソニーグループが発行した株を引き受けるので、市場で取引されるわけではありません。

市場が先回りで期待していた買収ではありませんでしたが、資本・業務提携によりソニーグループとのシナジーは期待できます。今回の調達資金のうち200億円を新規IPの創出・開発・取得にあて、297億円をIPのグローバル流通の強化に充てると発表されています。どちらもソニーグループとの協力を視野に入れての施策なので、うまくいけば今後のKADOKAWAの業績が飛躍的に改善すると期待できます。

調達資金の支出予定時期は、2025年1月から2030年3月とあるので、早ければ来期予想には織り込まれるかもしれません。株価は、元の位置まで下げたので、買いたい気持ちも湧きますが、新年度予想を確認してから、投資を検討するくらい慎重でいいと思います。

※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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