はじめに

認知症を発症し、口座が凍結された「後」の対処法

認知症になり口座が凍結されてしまった場合、どのようにすればお金を引き出すことができるのでしょうか? その唯一の方法が成年後見制度の「法定後見制度」です。逆にいうと、「法定後見制度」以外に、お金を引き出す方法はありません。

法定後見制度とは、認知症により判断能力が不十分となった方を法的に保護・支援する制度のことをいいます。預貯金や不動産などの財産管理について、成年後見人からサポートを受けることができます。この制度を利用することで、認知症になったとしても、財産を動かすことができます。

法定後見制度の注意点

法定後見制度にはいくつかの注意点があるので、ここでまとめておきます。

①家庭裁判所での申し立てが必要
法定後見制度は家庭裁判所への申し立てが必要です。そのため、申し立てから実際の利用開始まで約1~4ヶ月かかります。すぐに資金が必要な場合は、本人の代わりに生活費や医療費などを立て替えなければならない可能性があります。

②途中でやめることができない
法定後見制度は一度利用を開始すると、原則として途中でやめることができません。やめることができるのは、本人の判断能力が回復して、本人自身で財産を管理できるようになった場合です。

③後見人になれる人が限られている
後見人は家庭裁判所が選任するため、家族が選ばれるとは限りません。むしろ親族が選任されることは2割ほどで、8割は司法書士や弁護士などの専門家が選ばれます(厚生労働省「成年後見制度の現状」参照)。そして専門家が選ばれた場合、報酬を支払う必要があります。一般的に、後見人への報酬額は月額2〜6万円と安い金額ではなく、被後見人が亡くなるまで支払い続けないといけません。

このように、万が一に口座凍結された時の対処法はあるにはありますが、デメリットや利用制限も多く、金銭的な負担も少なくないということを覚えておきましょう。

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