はじめに
年金で暮らしている人たちはどのような暮らしをしているのでしょうか?
総務省「家計調査 世帯収支編」を見ると、年金生活者の暮らしぶりがわかります。今回の記事は、総務省「家計調査 世帯収支編」の「65歳以上の者がいる世帯(世帯主が65歳以上、無職世帯)」のデータを使って、年金生活者の暮らしぶりを読み解いていきたいと思います。
年金暮らしの1ヵ月の収入はどのくらいなのか?
まずは1ヵ月の収入=年金の受給額です。
年金の受給額は月額平均約20.1万円です。厚生労働省が出しているモデル賃金は23万483円ですので、それよりも少し低くなっています。実収入は約25.6万円です。この数字のなかには、世帯主以外の就業所得が含まれています。世帯主は65歳以上で無職なので世帯主の就業所得はありませんが、妻(夫)が働いている、その他の世帯員が就労している、などの理由で収入があります。このデータによると就業所得は月額1万円あることがわかります。
厚生労働省の「国民生活基礎調査」のデータにも、所得の100%が年金・恩給で生活している人が44.0%、所得の8割が年金・恩給で生活している人が16.5%。つまり年金に頼って生活している人が約6割います。
実収入:255,973円
年金受給額:201,929円
年金暮らしの1ヵ月支出はどのくらい?
では、次に1ヵ月の支出を見てみます。実支出は約28.6万円です。内訳は下記の通りです。
住居:16,304円
光熱・水道:23,809円
家具・家事用品:10,864円
被服及び履物:5,346円
保健医療:16,210円
交通・通信:31.439円
教育:352円
教養娯楽:23,861円
その他の消費支出:48,681円
非消費支出(税金、社会保険料など):33,248円
実支出:286,176円
もっとも多い支出が食料の約7.6万円です。続いて、交通・通信費の約3.1万円です(携帯料金は約1万円です)。住居費が約1.6万円と安いのは、持ち家率が94.1%だからです。もし、賃貸住宅に住んでいる場合には、これに家賃がプラスで必要となります。するとこの金額では収まらない可能性が高いでしょう。
けっして贅沢な暮らしぶりとはいえませんが、貧困な生活ではありません。